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円安景気と政府要請で、自動車や電機大手が賃上げ

20150407

自動車や電機などの大手企業が18日、2015年春闘で労働組合の要求に対し、一斉回答した。円安を追い風にした好調な企業業績や政府からの賃上げ要請を受け、前年に続き高額のベースアップ(ベア)が相次いだ。けん引役のトヨタ自動車は、ベアに当たる賃金改善分が現行の要求方式となった02年以降では最も高い月額4000円(要求6000円)、一時金は要求通りの6.8カ月を回答した。
 自動車や電機などの産業別労組で構成する金属労協の相原康伸議長は東京都内で記者会見し、「昨年は経済成長を確実にするための第一歩。今年は継続した賃上げが求められる中、昨年より歩幅の大きい2歩目を踏み出すことができた」と成果を誇った。一方、トヨタの上田達郎常務役員は愛知県豊田市の本社で記者会見し、「通常であればなかなか難しい金額だ」と述べ、踏み込んだベア回答だったとの認識を示した。
 日産自動車はベア5000円とトヨタを上回り、大手製造業でも最高水準となった。一時金は満額の5.7カ月を回答した。ホンダはベア3400円、一時金は要求通りの5.9カ月で決着した。(時事通信 3月18日)

昨年に続く賃上げラッシュだ。各企業とも本来なら内部留保の強化を最優先したいだろうが、景気回復を至上命題とする政府の要請を受けて、賃上げを実行したのだ。またしても安倍晋三首相は労組代表の役割を演じた。

消費者には“節約疲れ”という心理がはたらく。将来の生活不安に備えた預貯金を重視する行動は変わらないだろうが、消費を増やして疲労回復への向かうはずだ。

しかし、大手メーカーがいっせいに賃上げに走れば、中小メーカーや下請けメーカーも賃上げを実行しないと、とくに若い求職者から振り向いてもらえない。安倍首相には「利益を賃上げに廻す一方で、長年にわたりコストダウン要求に耐え続けてきた仕入先にも還元すべきでる」と繰り返し訴えてほしいものだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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