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中小企業「賃上げに前向き」が48%

20150323

日本政策金融公庫が24日発表した中小企業の賃金・雇用動向に関する調査によると、2015年に正社員の総人件費増加を見込むと回答した割合は48.3%(前年調査は43.7%)に上った。人手不足に備えるため、企業規模にかかわらず「賃上げに前向きに取り組む姿勢が広がってきた」と日本公庫はみている。
具体的な賃上げのうち、全体の43.1%(同33.9%)が基本給を底上げするベースアップ(ベア)を見込んだ。業績に応じた賞与(一時金)予想は調査対象外だが、14年実績は「増額」が前年比6.4ポイント増の35.7%。ただ、「減額・支給ゼロ」も4.5ポイント増の19.2%に達した。円安加速に伴い業績堅調な輸出関連と、コスト高が響いた消費関連などの間で明暗が分かれた形だ。
調査は昨年12月に全国1万2920社を対象に実施し、5042社から回答を得た。(時事通信 2月24日)

賃上げできる中小企業、賃上げできない中小企業に分かれるとはいえ、その差異はどこまで人材確保に影響するのか。人事コンサルタントが教えてくれたのだが、低賃金ゆえに人材確保の苦労が絶えない介護業界の場合、離職の理由で賃金は3番目の理由なのだという。

第一の理由は、経営者が福祉の心を失って収益至上主義に走ること。ひたすら収益確保を要求され、本来の介護ができないのだ。第二の理由は、上司が仕事の手を抜き、過剰な負担を押しつけてくること。

低賃金を承知のうえで、あえて介護業界に職を求めるぐらいだから、多くの介護職員は職業への使命感に忠実だが、生活の不安がつきまとい続ければ限界に直面する。
今年4月の介護報酬改定では、介護職に対して1万2000円の処遇改善が図られることになったが、それでも他業界に比べて賃金はまだまだ低い。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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