Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

人材囲い込みへ 非正規社員の正社員化が進む

0312a0002_002746_m

企業が正社員を増やし始めている。若い世代が減り、人材を囲い込む必要が出てきたためだ。小売業やサービス業を中心に待遇の良い正社員を増やす動きがあり、2014年12月は企業による正社員の求人が約8年ぶりの多さになった。パートなど非正規労働者から正社員に変わる人が増えて賃金水準が底上げされれば、景気を支える要因になりそうだ。
昨年12月の完全失業率は3.4%と17年4カ月ぶりに低い水準。仕事を選ばなければ誰もが働ける「完全雇用」に近い。働き手の中心である15~64歳は14年末に7756万人と前年に比べて117万人も減り、今後も減り続ける見通しだ。(日本経済新聞 2月16日)

生産年齢人口が減っていくなかで人手不足は常態化するので、こうしたニュースはこれからも繰り返し報道されるが、ブラックジョークのような現実もある。ある中堅コンサルティング会社の人事制度だ。

このコンサルティング会社は人事制度設計をセールスポイントにし、クランアント企業には正社員化を提言して、その制度設計を請け負っている。ところが、まさに紺屋の白袴なのだ。

自社内の非正規社員を一向に正社員に登用する兆候すらなく、シビレを切らした5人の非正規社員が揃って上長に確認を求めたら、5人は人事部長から呼び出され、正社員化の方針がないことを通告された。

「会社の方針です」と話す部長に向かって、1人が「クライアントには正社員化を勧めているじゃないですか?」と矛盾を突いた。すると、人事部長は「ビジネスと当社内の考え方や行動を一致させる必要はありません」と平然と答えてきたという。

それで通用した時代もあったが、いまは身をもって範を示す時代である。コンサルティング会社はいわば経営のショールームなのだから、クライアントに手本を示さないと説得力をもたなくなってしまう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。