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残業代ゼロ法案、来春に施行へ

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厚生労働省の労働政策審議会は13日、長時間働いても残業代などが払われない新しい働き方を創設する報告書をまとめた。労働組合などからは「『残業代ゼロ』になり、働き過ぎの歯止めがなくなる」と批判の声があがるが、厚労省は今通常国会に労働基準法改正案を提出し、2016年4月の実施をめざす。
新しい働き方は「高度プロフェッショナル制度」と呼ばれ、導入のねらいについて、報告書では「時間でなく、成果で評価される働き方を希望する労働者のニーズに応える」とした。
高度な専門知識や技術、経験を持つ労働者を対象にし、為替ディーラーやアナリスト、コンサルタントなどを想定する。
年収の条件としては、「1075万円以上」と省令に明記する。何時間働いても残業代や深夜、休日手当が支払われなくなる。企業で導入する場合は本人の同意を条件とし、年104日以上の休日取得など働き過ぎを防ぐ仕組みの導入も求める。(朝日新聞デジタル 2月14日)

年収1075万円以上の高度なプロフェッショナルの多くは、すでに時間外手当の支給対象外となって、インセンティブの支給を励みに、長時間過重労働をバリバリとこなしているのではないか。

この層にとって長時間労働は(自分はそこいらの月給取りとは違う)という矜持となって、勤労意欲の源泉にすらなっている。しかし、高度なプロフェッショナルとはいえ、肉体はあくまで常人である。無尽蔵な体力を備えているわけではなく、労働時間の上限を設けることは必須だ。

健康管理で着目すべきは、むしろ病院スタッフである。ブッラク企業以上に労働時間の長いのが急性期病院で、医師も看護師も、とくに当直明けはクタクタで、その過酷な就労状態は企業の比ではない。厚生労働省には、むしろ病院の就労環境改善に本腰を入れてほしいものだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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