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パナソニック、一般社員も年功序列を廃止

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パナソニックは9日、担当する仕事の大きさや役割を給与により多く反映させる制度を2016年4月から一般社員にも適用することを明らかにした。年功序列的な要素は一部残るが、仕事内容の軽重や組織への貢献度に応じ給与が決まる。関連会社を含め国内約5万5000人の一般社員が対象。管理職級には同様の制度が14年10月に導入され、今年4月からの適用が決まっている。
新制度では、一般社員の担当する職種を企画や技能など三つに分類。仕事の役割に応じ、職種ごとに3~4段階の等級を設け、給与を決める。制度は4月に導入するが、一般社員の給与への反映は1年後の16年4月とする。年間給与の下落率を管理職級で最大5%以内に抑える激変緩和措置を設けた。賞与は既に全社員が業績連動型に移行している。
また、廃止していた部課長制も4月以降、本格的に復活させる。意思決定の迅速化を目的としたグループ・チーム制は人材育成で弱点があったことを踏まえ、部課長制の下、上司1人に対する部下を7人程度に抑え、組織管理を強化する。(時事通信 2月9日)

大規模な人員削減を実施した後は賃金体系を改革して、年功要素を縮減するのは今に始まった手法ではない。それでもパナソニックでは「年間給与の下落率を管理職級で最大5%以内に抑える」とあるので、生活設計に不安を与えるような賃金体系ではない。

年功序列の廃止は経営環境の変化に由来すると言えばそれまでだが、ともかく余裕がなくなった。経済格差問題は社内にも発生し、これが求心力の低下を招いてしまうことは避けられまい。

伝統的な士気高揚策である理念の共有にも、よほど工夫してのぞまないと、社員の面従腹背が進んでしまう時代となった。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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