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有休の取得時期指定を義務化へ

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政府は今国会に提出予定の労働基準法改正案で、有給休暇の消化を促すため、企業に対して、従業員に取得時期を指定することを義務付ける日数を、年5日とする方針を固めた。
週内にも開く厚生労働相の諮問機関・労働政策審議会の分科会に提示する。
有休は現在、従業員が休みたい時期を指定して請求する仕組みで、消化率低迷の要因となってきた。そのため、政府は有休の一部について、取得時期を指定する責任を企業に負わせ、違反した企業には罰則を設ける。企業が時期を指定する際には、従業員の希望を聞く制度にする。
厚労省によると、有休を取得できる日数のうち、実際に消化した割合を示す取得率(2013年)は48.8%。政府は20年に70%に引き上げる目標を掲げている。(読売新聞 2月3日)

有給休暇の取得時期を企業に義務付け、罰則規定を設けるほどに取得が困難になっている企業が多いのだろう。すでに有休取得が当たり前のように進んでいる企業にとっては、滑稽にすら感じてしまう制度かもしれないが、取得の申請をためらわざるを得ない企業が依然として数多いのだ。

新制度に罰則規定を設けたところで、巧妙にすり抜ける企業が後を絶たないだろうが、それを摘発・処罰するマンパワーが労働基準監督署にあるとは思えない。

昨春に安倍晋三首相がベースアップを呼びかけて、多くの企業でベアが実現したように、首相みずから有給休暇の取得を呼びかければよいと思う。さらに取得の申請をためらわざるをえない企業文化の改善もあわせて連呼すれば、かなりの効果が出るはずだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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