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残業代ゼロ制度、対象は年収1075万以上

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働いた時間にかかわらず、成果で賃金を払うとする「残業代ゼロ」制度などを盛り込んだ政府の労働基準法改正案の概要が7日わかった。新制度の対象者を年収1075万円以上の働き手とする方向で調整するほか、働きすぎを防ぐため、会社にいる時間を制限する措置なども設ける。また、企業に対し、従業員の年休取得を義務づけることなども検討する。
これまで政府の成長戦略では、新制度の対象者は「年収1千万円以上の高い職業能力を持つ労働者」としてきた。労働基準法には、高い能力のある労働者の年収要件を1075万円以上とする基準があり、新制度も省令で同額とすることを検討している。
新制度には「働き過ぎを助長する」という懸念が強い。そのため新制度を導入する企業には、会社にいる時間の上限規制▽勤務の間に一定の休息時間を設けるインターバル規制▽年104日の休日取得規制といった、長時間労働を防ぐいずれかの仕組みを導入することを条件とする。医師の面接指導を義務化することも検討する。(朝日新聞デジタル 1月8日)

年収が1075万円以上の社員に残業代を支給する会社は限られているから、この制度は成果報酬制度を浸透させる取っ掛かりであると見てよいだろう。いずれ年収の基準は引き下げられるのではないか。

会社によっては残業代を支給するよりも、年収を1075万円に引き上げたほうが安上がりと判断するケースも出てくるかもしれない。

この制度の焦点は、何よりも対象社員の健康管理である。「会社にいる時間の上限規制」を設けたところで、自宅作業を強いられれば長時間労働に変わりない。在社と在宅の総就労時間に制限を設けない限り、働かせ放題という事態におちいるのは必至だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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