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タカタのストッカー社長が降格、高田会長が社長兼任

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タカタは24日、欠陥エアバッグのリコール(回収・無償修理)問題をめぐり「対応の一元化や意思決定の迅速化を図る」として、ステファン・ストッカー社長が同日付で取締役に降格し、高田重久会長が社長を兼務する人事を決めた。
また、リコール対策費の計上で2015年3月期の連結最終損益が250億円の赤字(前期は111億円の黒字)に転落する見通しを受け、高田氏が月額報酬の50%、ストッカー氏が30%、その他の取締役3人が20%をいずれも4カ月返上することを合わせて明らかにした。
ストッカー氏は独自動車部品大手ボッシュの日本法人社長を経て、13年6月、創業家以外では初の社長に就任。創業家の高田氏と二人三脚で海外への事業拡大を進めていた。
高田氏はエアバッグのリコール問題が浮上して以降、公の場に姿を現していない。タカタは「年内に記者会見を開く予定はない」(広報)としている。(産経新聞 12月24日)

リコール問題がここまで拡大した真相はいずれ明らかになるだろうが、政治的な思惑が絡んでいるであろうことは何となく察しがつく。

通常なら、不祥事の発生時には経営トップが記者会見でメッセージを述べるのが鉄則だが、タカタ創業家の高田重久会長がいまもなお記者会見を開いていない。それはメディアの追求を避けているのでなく、危機管理広報の専門家が事態の推移を見ながら会見のタイミングを助言しているのではないか。

トップが会見に登場しないこと自体、メディアからは批判の対象になるが、それはやりすごせばよいと判断して、経営体制の再編や再発防止策の目途をつけたうえで会見を開くのだろう。

それにしても、会長が社長を兼任するという人事からは次期社長候補者が不在なのか、あるいはプロ経営者を起用して危機を乗り切る意図なのか。すでに水面下では人事が動いているかもしれない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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