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中小建設会社が人材採用へ野球部を創設

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さいたま市の建設会社「深谷組」(社員約九十人)が、本格的な硬式野球部をつくった。狙いは人材の確保。引退する選手も会社の貴重な戦力とする計画で、深谷和宏社長(47)は「鉄骨は一人で組めない。チームスポーツで培った経験は仕事にも生きる」と期待を込めている。
十月、埼玉県内のグラウンドで開かれた選手選考会。社長らのつてを通じて十数人が集まった。高校や大学で野球に打ち込む十~二十代が中心で、レベルの高い打撃や守備を披露。大半が合格し、別の選考会で採用が決まった数人とともにチームは来春、約二十人で発足する。
(中略)
「若者が入社しない現状を打ち破りたい」。野球部は元高校球児の深谷社長が発案した。選手も正社員採用で、来春の新入社員は例年の十五人前後から約三十人に増える。
練習は休日のほか、仕事が終わった後の平日二日間。専用球場はないが、近隣の大学と提携しグラウンドを確保する。「短時間で集中して技術を磨く」。選手には甲子園経験者も含まれ、社会人野球の最高峰、都市対抗大会やプロ輩出を目指す。一方で引退を迎えた選手は、「野球で鍛えた肉体と精神のタフさ」を生かし、会社の中軸を担う社員となる。(東京新聞 12月22日)

コストダウンのあおりを受けて企業のスポーツチームが縮小や解散を強いられるなかで、深谷組の取り組みは着眼点がおもしろい。野球部の実績が積み重なるにつれ、社員の採用にメリットが出るだけでなく、営業活動にも良い影響が現われるのではないだろうか。

さらに社員数が約90人の規模なら、試合成績が向上すれば社内も活気づくはずで、いろいろな波及効果を期待できる。

昔から体育会出身者は企業に好まれるが、たとえば体育会出身者の離職率を調査したらおもしろい。大卒の新入社員が入社後3年以内に30%も退職する時代に、体育会出身者はどうなのか。あるいは体育会出身者の部長職以上への昇進状況など、体育会信仰がデータで裏付けられれば、体育会採用を推進する新たな取り組みが模索されるのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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