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解雇を行わない日本電産のM&A

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他産業からそうそうたる幹部をかき集めた永守の「番頭」戦略は、日本電産のM&A戦略と共通の考え方によるものだ。永守は「時間を買う」と表現する。
時間をかけて技術や販路を構築・取得していては、他社に後れをとる。経営のスピードを上げるために、永守は他社の買収をいとわない。人材も同様だ。
日本電産は昭和48年の創業以来、国内外の39社をM&Aで傘下に収めた。今年1月には車載用モーターの三菱マテリアルシーエムアイを、3月には車載システムのホンダエレシスを買収した。だが、「乗っ取り」とは大きく異なる。
赤字で倒れそうな会社を譲り受けても、一貫して解雇は行わない。自ら乗り込んで、社員らと交流し仕事のやり方を教育する。自信とモラルを取り戻せば、企業はおのずと再生する。(産経新聞11月15日)

この記事は日本電産が「番頭の時代」というシリーズ企画の一部で、日本電産が社外から経営幹部を次々にスカウトして、永守重信社長の番頭にすえている人事を取り上げている。後継者は番頭から選ぶのだろうか。あるいはプロ経営者をスカウトするのだろうか。

日本電産のM&Aも経営幹部のスカウトと同様に「時間を買う」戦略だが、人員整理を行わないことが最大の特徴かもしれない。日本電産の傘下に入ればハードな仕事を強いられるだろうが、雇用が確保されるのだから中高年社員には御の字だ。

「時間を買う」経営は企業価値向上のスピード化ともいえるが、日本電産のM&Aには、人材再生という側面がある。人材再生は業績と異なり外部からは見えにくいが、人材力=企業力である。

人材再生をM&Aのもうひとつの本義として注目したい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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