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野村証券、定年年齢を65歳に引き上げ

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野村証券は28日、来年4月以降、国内営業担当を中心とする約5千人を対象に、現在60歳としている正社員の定年年齢を65歳に引き上げる新制度を導入する方針を明らかにした。再雇用を希望すれば、70歳まで働くことも可能になるという。
同社は、金融商品の販売件数を増やすビジネスモデルから、顧客からの預かり資産残高を増やして収益を拡大する営業手法への転換を進めている。新制度は雇用延長を通じて、「顧客との関係性を深める」(広報部)のが狙いで、この新たな営業手法に合致していると同社が判断した社員に個別に適用する方針だ。
また新制度に合わせて、3年ごとに国内転勤を繰り返している「総合職A型」と呼ばれる社員の処遇も見直す。より地域密着型の営業を推し進めるため、転勤までの期間を3年ごとから5年ごとに変更する。(産経新聞 10月30日)

年金だけでは定年後の生活設計がおぼつかないなど、60歳以降に働く動機はそれぞれだが、60歳を過ぎた現役の経営者や会社員に訊ねると、等しく「働かないと老け込むし、健康にも良くない」。そう答えてくる。

たしかに、高額な退職金と厚生年金と企業年金を懐にして、悠々自適の生活を送る人よりも毎日せわしなく働いている人のほうが、活力にあふれているように見える。人材サービス会社で働く74歳の営業部長はテニスが趣味だが「忙しい合間を縫ってプレーをするから楽しいんです。毎日テニスをやっていたら楽しくありませんよ」と話してくれた。

たぶん、仕事もテニスも充実しているのだろう。この営業部長は表情も話し方も、さらには歩き方も毅然としていた。

国は医療費の抑制に向けて健康寿命の延伸政策を進めているが、健康寿命の延伸は本人にとってもプラスだ。国策がどうであれ、日々張り合いがあって、稼ぎもあれば、老後を短縮できる。その意味で定年延長は歓迎すべき制度設計である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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