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地方銀行が行員に医療系資格の取得を推進

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医療機関の経営相談に対応する民間資格「医業経営コンサルタント」を行員に取得させる地方銀行が増えている。診療報酬制度の改定や医師確保への対応など医療機関も高度な経営判断を求められる。専門知識を持つ人材を育てて取引先を支援するほか、地方で需要が大きい医療・福祉関連の融資につなげる。
福邦銀行(福井市)は医療介護分野のチームを9月に設けた。本部と支店の営業担当者で構成。医業経営コンサルの有資格者が2人、その他の医療や介護系資格の取得者が8人いる。チームは15人でスタートしたが、10月に1人増員した。
千葉銀行では1人が医業経営コンサルに合格。ほかにも資格取得の講座を受けさせたり医療機関に出向させたりといった対策を進めている。(日本経済新聞 10月20日)

医療法人の経営で今後の焦点になるのが再編・統合である。アメリカで各地に存在する非営利型ホールディングカンパニーモデルの日本版で、地域の中核となる医療法人が主導して非営利型ホールディングカンパニーを設立して、その傘下に同じ医療圏の医療法人を統合しようという構想だ。

経営悪化にあえぐ医療機関に破たんされては、高齢化で増加する医療ニーズに対応できない。そこで国は統合・再編を進めて医療提供体制を保持しようと考え、2017年度に非営利型ホールディングカンパニーの創設を予定している。

全国にこのモデルが創設されれば、銀行にとってはメインバンクの争奪戦が起こるだろう。銀行に問われるのは、過去の融資実績もさることながら、医療法人の経営にどれだけ精通しているか。医療系資格の取得はますます進むのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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