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介護業界、人材供給源の専門学校が生徒獲得に四苦八苦

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内需型産業は対照的だ。管理職を含めて人手が足りない。例えばセンショーホールディングスが牛丼店「すき家」の店舗6割で今月から深夜営業を休止した。小売りや物流会社、介護の現場では働き手が流出しないよう正社員化や賃金引上げの動きが増え、外国人労働力がもっと増えるよう入国規制の緩和を求める声も強まっている。
経営共創基盤の冨山和彦最高経営責任者(CEO)は近著で企業を「グローバル経済圏」型と「ローカル経済圏」型に分類し、2つの流れを論じている。日立のような大手製造業は海外事業からの配当、納税を通じて、今後も日本に貢献する。だが「新たな雇用を大量に創出し続ける存在でいるかどうかは疑問」と話す。国内雇用のメーンストリームはむしろサービス産業などローカル経済圏に移っていく可能性が高い、との指摘である。(日本経済新聞10月13日)

以上は「経営の視点」に掲載された日本経済新聞編集委員の中山淳史氏の記事から抜粋した。

介護業界では定着の促進もさることながら、それ以上に採用がはかどらない。最大の人材供給源でもあった福祉系専門学校の卒業生が、介護業界に就職しない傾向が強まっているのだという。関西地方の社会福祉法人の事務長は「採用対象者の中心を高校の新卒に切り替えました」と話す。

「大卒はどうなんですか?」と尋ねたら「福祉を専攻した学生でも他の業界に就職するようになりましたね」。採用の対象先が限られてしまったのである。

専門学校の場合、供給源になるどころか生徒の獲得にも苦労しているのが実情だ。高校で進路説明会を開こうとしても、福祉系専門学校の希望者が少ないことから、説明会が開かれない例も少なくないという。現状、介護業界の人手不足の解決策は見出されていない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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