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日立製作所が年功序列賃金を廃止

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日立製作所が導入する管理職向けの新賃金制度は、年齢や勤続年数に応じて給与が決まりがちの年功序列賃金体系からの脱却を狙うものだ。政府も29日に開く政労使会議で、年功序列型賃金の是正や、ポストや成果で賃金を決める制度の導入を議論する。人事制度の見直しで生産性を改善させ、業績を底上げするシナリオを描くが、課題も多い。
日立の中畑英信常務は36日の記者会見で「グループで世界共通の人事評価制度を整備することで、外国人や中途入社者は意欲が増す」と話した。米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスなど欧米企業は、年功よりも、担当するポストの重要度によって給与のベースが決まる制度を導入している。日立はこれらライバル企業の制度を参考にした。
日立だけではない。日産自動車は、仏ルノーの傘下になった翌年の2000年度から、課長級以上の管理職で04年度から一般社員で年功序列を廃止した。年齢給や資格手当などはなく、等級の昇格や降格で給与額が決まる。(朝日新聞 9月26日)

年功序列賃金の廃止は国際標準への切り替えと言えば、いかにも先進的である。たしかにそうした一面はあるのだろうが、真意は総人件費の抑制措置にあるのではないのか。

成果主義人事はとうにベンチャー企業では浸透していて、日立製作所の新制度は必ずしもニュース価値のある話題ではない。

成果主義人事は公正で合理的にも見えるが、結局のところ人参レースのようなものだ。社員はおのずと短期志向になり、心身の消耗も激しくなってゆく。ビジネスマンとしての旬の時期は短く、林芙美子が詠んだ「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」になりかねない。

いっそのこと、年功序列コースと成果主義コースの複線型人事制度を設けて、社員に選択させればよい。もちろん行なうは難しだが、いっせいに社員を人参レースに駆り立てるよりマシだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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