Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

35歳未満の4人に1人が賃金に不満で「転職したい」

1006

民間企業で働く、35歳未満の若手社員の4人に1人が「転職したい」と考えていることが25日、厚生労働省の調べで分かった。仕事の内容ややりがいには7割近くが満足しつつも、賃金への不満が多く、転職先には「賃金の条件が良い会社」とする回答が4割を超えた。
調査は昨年10~11月、全国の35歳未満の労働者(非正規雇用を含む)を対象に実施し、約1万6千人が回答した。これによると、正社員として勤務する男女計25.7%(男22.0%、女31.3%)が「転職したいと思っている」と回答。転職時期については「30代まで」が約7割に及んだ。
理由(複数回答)では「賃金の条件が良い会社に変わりたい」が44.6%でトップ。「自分の能力が生かせる会社に変わりたい」(36.7%)や「独立して事業を始めたい」(14.6%)などを押さえ込んだ。一方、最初に入社した会社は「すでに辞めた」という人は47.3%おり、約6割が3年以内に辞めていた。
現在の職に対する満足度では「仕事の内容・やりがい」に満足、やや満足と答えた正社員が計65.9%に及ぶ一方、「賃金」については計36.5%と低迷。昨年9月の給与(額面)を聞くと、正社員は「20万~25万円未満」(33.1%)、非正規社員は「10万~15万円未満」(28.8%)が最も多かった。(産経新聞 9月26日)

「ゆるい転職」が話題になる一方で、バリバリ働いて稼ぎたいという志向性が強いのは35歳未満なら当然の現象だ。この年代の多くがゆるい転職を志向するようでは、日本経済は奈落の底に落ちてゆく。

この調査で転職動機のトップが「賃金の条件が良い会社に変わりたい」で回答の半分近くを占めたことは、結婚や出産などで生活費が重くのしかかる年代に達したからだろう。

今春のベースアップも消費増税を補えないうえに、来年に実施が濃厚な消費税10%への引き上げ、これに引き続きのベースアップは期待できそうにないことなどを重ねあわせれば、今のうちに賃金水準の高い会社に転じて、生活防衛を図っておく。

そう考えているのだろうか。そうだとしたら35歳未満の社員は、なんとも厄介な時代に生きている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。