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ニチイ学館、創業者の寺田氏が社長復帰

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ニチイ学館は18日、10月1日付で創業者の寺田明彦会長(78)が社長を兼務すると発表した。寺田氏が社長に復帰するのは9年ぶり。斉藤正俊社長(61)は人材派遣子会社、日本サポートサービス(東京・千代田)の社長に就く。ニチイ学館は2012、13年度と営業減益が続いている。寺田氏の現場への関与を強め、事業を立て直す。
寺田氏は企業による本格的な介護サービスを国内で最初に始めた人物。05年には会長となったが、現在でも社内で影響力がある。国内の介護事業は競合が激しく、新規事業で始めた英会話教室も苦戦している。
同社では寺田明彦氏の長男である寺田大輔氏が今年6月に副社長に就くなど、創業家出身者の存在感がこれまで以上に大きくなっている。
寺田 明彦氏(てらだ・あきひこ)57年(昭32年)早大教育中退。73年保育総合学院(現ニチイ学館)設立、社長。05年会長。長野県出身。(日本経済新聞 9月19日)

創業者が経営トップに復帰した例にはファンケルが挙げられる。昨年、ファンケル創業者の池森賢二氏が代表取締役(会長執行役員)に就任した。V字回復をめざした人事である。

ニチイ学館創業者の寺田明彦氏の社長復帰は、この記事に「現場への関与を強め、事業を立て直す」と書かれてあるが、復帰の本義は、たぶん創業力の復元にあるのではないか。

V字回復はマネジメントの強化だけではおぼつかないものだ。そこには“創業力”とも呼ぶべき手腕が必要で、社内でこの手腕をもっとも有しているのは、ほかならぬ創業者である。

何事も仕組化することが経営の要諦であるかのように理解されているが、創業力だけでは仕組化できない。ひらめき、、説得力、執念、エネルギーなど属人的な要素が多すぎて、仕組化を試みても上手くいかないだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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