Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

NTNの女性社員は平均18年勤続

0918

ダイバーシティー(人材の多様性)をいかに高めるか――。特に女性の活用は今や企業の重要課題となっている。軸受け(ベアリング)大手のNTNは女性社員の平均勤続年数が約18年と男性(約17年)を上回るほどの「定着する職場」を実現した。肝と位置づけるのは、支援制度の拡充、そして「任せる」ことだ。重要プロジェクトに積極起用し、口を出さずに任せきる。意気に感じる女性の働きが、企業の活性化を生む。
サービス業などに比べて女性登用が遅れている製造業の現状に強い危機感を持ち、NTNは早くから女性が働きやすい仕組みづくりに力を注いできた。
ポイントは信じて任せること。「前例がない」といった言い訳や「ああすればいいのに」と周りが口を出すことを徹底的に排除し、トライすることを重視してきた。最近でも象徴的な出来事として話題になったのが、英航空機関連メーカーとの設計の交渉役だ。男性がほとんどの航空機業界向け取引でNTNは女性技術者を抜てきし、活躍の場を広げている。(日本経済新聞 9月6日)

女性社員の平均勤続年数が男性社員を上回っているのだから、これは賞賛すべき例だ。成長真っ只中のベンチャー企業社長のなかには「成長についてこられない社員は辞めてもらっても結構だ」とか「社員が定着しすぎると新陳代謝を図れない」など、もっともらしい理屈を話す人が少なくない。

だが、社員が(この会社に人生を賭けてみよう)と心から思うかどうかで、中長期で見れば、仕事への関わり方に万里の開きが出てくるものだ。要はいかにしてモチベーションを向上させるか。

目標数値を達成して昇進昇格を目指すのは組織人としてオーソドックスなモチベーションだが、それだけでは人参レースの参加者にすぎない。何も(世のため人のため)と大上段に構える必要はない。世間に価値を提供することに等身大の喜びを見出せる職場環境が、モチベーションを持続させるのだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。