Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

伊藤忠、富士フイルムなど労働時間規制緩和へ

0829

伊藤忠商事や富士フイルムなど主要企業が、働いた時間ではなく成果に応じて賃金を払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入の検討を始めた。政府は欧米に比べて劣るとされるホワイトカラー層の生産性向上のために、同制度の導入に向け2015年の法改正を目指している。企業は国が今後、制度の詳細を詰めるのに合わせて準備を進め早期導入を目指す。
政府が今年6月に成長戦略の目玉として導入を決めたホワイトカラー・エグゼンプションは、年収1千万円以上の高度な専門職を対象に、労働基準法で定められた1日8時間、週40時間の労働時間規制を外す制度。厚生労働省の審議会で具体的な制度設計を議論しており、15年の通常国会で労基法の改正案を提出し、16年春の施行を目指している。
伊藤忠商事は、年収1千万円以上の総合職の大半をホワイトカラー・エグゼンプションの対象とすることを念頭に、導入を検討している。商社の総合職の業務は新規ビジネスの発掘など企画型の業務が中心で、高度な専門知識やスキルが求められるという。
富士フイルムは幅広い職種について早期の導入を検討している。HOYAも営業、企画、研究開発部門などでの導入を想定する。東芝や日立製作所も導入を検討している。(日本経済新聞 8月18日)

この記事によると、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入を検討しているのは伊藤忠商事、富士フイルム、三井物産、ダイキン工業、タカラトミー。政府が適用の対象としているのは年収1000万円以上の専門職だが、中堅・中小企業で年収1000万円以上となると、多くの場合、取締役クラスである。

したがって、この制度を導入するのは、当面は大手企業に限られるのかもしれないが、制度の趣旨からして産業界全体に浸透させるはずだから、年収1000万円という基準はいずれ緩和されるのではないか。

生産性向上は労働時間の短縮とセットになっていなければ、ただの労働強化へと暴走しかねず、社員の心身を摩耗させてしまう。ホワイトカラー・エグゼンプションの導入を検討する企業は、産業医や弁護士の知見を十二分に取り入れることだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。