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「求人難」型倒産が増加

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東京・田端に本社を置く中堅建設会社、岩本組は5月、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。その気配が訪れたのは昨年夏ごろだった。
都内の中学校の建設工事を請け負っていたが、労務費や資材費が高騰。下請け業者に支払う人件費は「当初の見込みから業者によって最低でも3割、最高で2倍に膨らんだ」(同社)。
そのあおりで今年1月ごろからは急に資金繰りが悪化。金融機関につなぎ融資を求めたが、資金不足で倒産の憂き目にあった。
1980年代末のバブル経済がもたらした『人手不足倒産』の再来である。民間信用調査会社の東京商工リサーチによると今年1~7月には人が集まらないことを原因とする『求人難』型の倒産が15件発生。前年同期の4件から急増した。人件費の上昇が影響した倒産も4件から11件に倍増。「事業は好調なのに、人手不足の影響で倒産する企業が今後増える可能性がある」(友田信男・取締役情報本部長)という。(日本経済新聞 8月12日)

中小規模の市場調査会社がこの5月から営業職の求人を出し続けているが、一向に思うような人材の応募がないという。この会社が求めているのは40代前半までの人材で、営業経験は必須要件にしていない。

応募数はそれなりにあるのだというが、この会社の社長によると「定年退職者が続々と応募してくるんですよ。世の中、どうなっちゃってるんでしょうね?」。給与は20万円+成果給で、賞与は実績次第。この水準では、現役世代にとっては生活設計が難儀だろうが、リタイア世代なら過不足がない。

しかし、台所事情からして、これ以上の数字は用意できない。この会社は営業職を増員しなければ、新規開拓どころか既存の顧客もフォローも間に合わず、業績急落も覚悟しなければならないとか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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