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学生労働者の権利擁護へ「ブラックバイトユニオン」結成

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労働法令に抵触する不払いや長時間労働をアルバイトに強制する企業などに対抗しようと、首都圏の大学生らが1日、労働組合「ブラックバイトユニオン」(佐藤学代表)を結成した。正社員と同じようなノルマを課したり、学校生活に支障が出る勤務体系などから「学生労働者の権利を守る」のが狙いだ。
ユニオンには大学生と大学院生計20人が参加。残業代の不払い(塾講師)▽ノルマに届かない分の空揚げを自腹購入(コンビニエンスストア)▽商品を作ったことがないまま1人勤務を命じられた(ファストフード店)--などの経験があるという。
メンバーの大学3年生の男性(21)は「仕送りの減少などで学生アルバイトは、余暇に充てる資金を稼ぐ手段から生活費を稼ぐものへと役割が変化している。簡単には辞められないし、次の仕事がすぐに見つからなければ生活が成り立たなくなる」と語った。(毎日新聞 8月1日)

雇用弱者への理不尽な処遇は、企業にとってはいわば“不都合な真実”だった。収益追求と理不尽な就労環境が対をなしていた企業にとって、理不尽な状況は解消の対象でなく、あくまで都合よく運用する対象だった。

だから徹底的に隠ぺいし、かりに発覚しても(それは当人に由来する問題である)と結論づける以外になかった。挙句の果てに(環境を変えたければ、まずは自分が変わること)などと、もっともらしい自己啓発を促して、企業側の責任を雲散霧消してきたのだ。

結成されたブラックバイトユニオンに対しても、当然、企業からの風当たりは強く、陰に陽に圧力をかけていくに違いない。ネガティブキャンペーンも展開するだろう。すでに準備中かもしれないが、バックアップ体制が必要だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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