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女性の就労を100万人増やす――経済財政白書が試算

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甘利明経済再生担当相は25日の閣議で、2014年度の経済財政報告(経済財政白書)を提出した。日本経済の課題として、構造的な人手不足問題を初めて本格的に取り上げ、女性と高齢者の就労促進を提言。子育て対策の強化で女性の就労を100万人増やせると試算した。賃上げの必要性にも言及し、雇用重視の姿勢を鮮明にした。
少子高齢化が進んで働き手が減ると、国民全体の所得が減り、消費や生産力が落ちる。白書は30年の労働力人口が現在より890万人以上少ない5683万人に減少するとの試算に触れ、「所得を押し下げ、潜在成長率の低下をもたらす可能性もある」と警告した。経済が右肩下がりになって社会保障などにしわ寄せを生じさせないためにも「女性と高齢者の労働参加を促進することが重要」と指摘。子育て対策の強化で女性の就労を約100万人増やせるとした。(毎日新聞 7月25日)

配偶者控除の廃止が見送られたが、そもそも廃止措置は、女性の就労機会を拡大する動機としては本末転倒に近い。まるで専業主婦というライフスタイルを否定し、家庭から主婦を追い出すような発想だ。

人手不足を補うのに女性の就労機会を拡大するのは、いまや国是のようなものだが、経済的な締め付けによる政策誘導は、いかにも不条理である。誰しも生き方そのものを政策的に規定される理由はない。生き方は経済政策とは別次元の、あくまで個人的なテーマだ。

報道によると、働く主婦にとって、専業主婦への配偶者控除が不公平に見えることもあるようだが、控除額は38万円である。多寡の基準は明確にしようがないが、それでも違和感を覚えるほどの金額ではあるまい。

主婦の就労を促すには、子育て対策の強化にくわえて、就労に伴う経済的なインセンテフィブを設けるなど前向きな発想でない限り、持続性がともなわないのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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