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リコー、「人事権の乱用」批判で出向・配置命令を取り消す

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社員を不本意な部署などに異動させ退職を促す「追い出し部屋」の問題で、コピー機大手のリコー(東京)は、希望退職に応じなかった約100人に対する出向・配転命令を取り消す方針を固めた。複数の関係者が明らかにした。デスクワーク主体の仕事から、肉体労働の必要な仕事などに異動させた全員を今秋にも元の職場などに戻す。
リコーの命令には「人事権の乱用」で無効とする判決が出ており、批判の高まりで撤回に追い込まれた。
リコーは2011年、国内外で1万人を減らすリストラ計画を発表し、1600人を目標に希望退職を募った。実際はリストラ対象者を選んだうえで退職をすすめたが、応じなかった40~50歳代の152人を、技術・開発職などデスクワーク中心から、コピー機の解体といった肉体労働を伴う職場などに異動させた。(朝日新聞デジタル 7月19日)

リコーの「追い出し部屋」作戦に対して「人事権の乱用」という判決が出ているが、人事権の乱用をもたらした要因は何か。それは人権意識の欠如である。人事権を乱用する事案に等しく垣間見えるのは人権意識の欠如だ。

その意味で、リコーに求められるのは出向・配置命令の取り消しという形式の改善ではない。人権教育を実施して、立場の弱い者を圧迫したがる心性を組織風土から撲滅しなければ、同様の行為が再発しかねない。

とかくリストラの実施では、その企業の人権意識が露呈されるものだ。中小企業ならオーナー社長の人権意識が白日の下にさらされてしまう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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