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1年間で時給が高くなった飲食業は62.2%

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人手不足が外食企業の大きな経営問題になってきた。日本経済新聞社がまとめた2013年度の飲食業調査によると、1年前と比べて人材確保が難しくなったと答えた企業は8割超に達し、前回(12年度)調査より2割以上増えた。パートやアルバイトを確保できず、閉店に追い込まれる企業も出ている。企業の成長戦略に見直しを迫るだけでなく、日本経済の「成長の壁」になる可能性も出てきた。
(中略)
人材確保のため時給を上げている企業が多い。1年間で時給が「高くなった」のは62.2%にのぼる。「変わらない」は36.6%だったものの、「安くなった」はゼロ。時給の増加幅は3%未満が58.7%と過半を占める一方、3~5%は26.8%以上も11.6%あった。(日本経済新聞5月28日)

東京商工リサーチの調査によると、人件費上昇が要因となった倒産は、2014年~-4月累計で8件。業種別にみると、建設業を中心に貨物運送業やサービス業でも発生しているという。賃上げを強いられた中小企業に経営危機に陥る例が増えれば、企業間格差はいっそう広がってゆく。

賃上げの成果は人材確保だけでない。中小企業の追随を回避したい大手企業のなかには、賃上げによって消耗戦を仕掛ける意図が、芽生えてこないはずがない。その仕掛けに応じて、ひとたび賃上げの土俵に乗ってしまったら後に引けなくなり、高コスト経営を続けざるをえなくなる。

この轍を踏まないためには、自社の労働分配率の上限を精査して、社員に開示することが常道だ。無い袖は振れない。ならば本当に無いことを社員に納得してもらえるかどうかが、これからの求心力に大きく影響を与えるはずである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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