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すき家の約250店が人手不足で営業休止

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ゼンショーホールディングス(HD)は14日、傘下の牛丼チェーン店「すき家」の28店舗がアルバイト店員の不足で現在、営業休止していると明らかにした。改装中の店舗も含めると計184店で営業を再開できていない。小川賢太郎会長兼社長は同日の決算記者会見で、「多くのお客様に迷惑をかけ申し訳ない」と謝罪した。
すき家は人手不足が原因で2月以降、約250店が一時休業や短縮営業に追い込まれた。6月からはすき家を全国7地域に分社化し、地域の実情に合わせて人材を採用するほか、賃金体系なども工夫して働きやすい職場作りを進めるなどの対策をとる計画だ。しかし店舗の営業中止などにより、15年3月期の売上高は約24億円、営業利益は約8億円それぞれ減少する見込みという。
ゼンショーが同日発表した14年3月期連結決算は、売上高が前期比12.2%増の4683億円だったが、営業利益は44.8%減の81億円だった。(毎日新聞 5月14日)

2000年代前半、焼肉チェーン「牛角」が勢いよく全国展開をしていた頃、外食業界でオーバーストア現象が話題になった。店舗数が多すぎるのではないかと懸念されたのだ。適正な店舗数が検証されたわけではないが、いくら何でも多すぎると実感する業界関係者が少なからずいた。

だが、チェーン店にとって、ましてや株式上場をしていれば、店舗数の増加は至上命題である。毎年、店舗数を増やすことを、いわば株式市場に約束させられる。だから既存の業態の店舗数が頭打ちになれば、新業態を開発し、リニューアルを加えながら複数の業態を展開してきた。そして、国取り合戦さながらの激戦を繰り返した挙げ句、綻びを見せて身売りするチェーンも続いた。

ゼンショーは人手不足を営業休止の理由に挙げる。その通りなのだろうが、たぶん、問題の本質はオーバーストアにあるのではないか。
この報道が出た翌日の午後1時過ぎに、西新宿の「すき家」に入ったら、客は数人しかいなかったのに、カウンター席の大半とテーブル2卓の食器が片付けられていなかった。店員は3人だった。作業が廻らない様は見ていて気の毒である。セルフサービスに切り替えたほうがよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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