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残業代、中小企業も月60時間超で50%増へ

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政府は中小企業の残業代を引き上げる検討に入った。2016年4月をめどに、月60時間を超える残業には通常の50%増しの賃金を払うよう企業に義務付ける。現在の25%増しから大企業と同じ水準に引き上げて、なるべく長時間労働を減らすよう促す。やむを得ず残業する人の収入は増えるようにして、消費を押し上げる狙いもある。
労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)で議論を進めて、15年の通常国会に労働基準法の改正案を出し、16年4月からの適用を目指す。
(中略)
政府は10年4月に施行した改正労基法で、従業員が300人を超えるような大企業に対して、60時間超の割増率を50%以上に引き上げた。当初はすべての企業で一律に引き上げる方針だったが、経営が苦しい中小企業への配慮で当面は猶予し、3年をめどに再び検討することにしていた。
中小企業庁によると、中小で働く人は3217万人と、働く人全体の70%を占める。厚労省の調べでは、中小企業の事業所のうち月60時間超の残業をしている人がいるのは4.4%。大企業の8.1%より少ないが、労務管理がずさんな企業もあり、賃金を支払わない「サービス残業」を含む実際の残業時間はもっと長いとの指摘が多い。(日本経済新聞 5月10日)

<p残業代の支払いを渋る中小企業経営者に理由を問うと「労働基準法に従って残業代を支払っていたら会社が持たないですよ」。だいたい、そう答えてくる。「それなら残業させなければいいじゃないですか」と返すと「残業させないと納期に間に合いませんよ」>

こういう認識をもつ経営者は、業績が伸びて残業代の原資を確保できるようになっても、支払いを渋るものだ。そもそも支払うのがイヤなのである。イヤならそれでも結構だが、残業代を支払えないのなら人を雇うべきではない。それなら問題は起こらない。

これは暴論でも何でもない。違法性を前提とした経営が容認されてよいはずはなく、労働基準監督署はマンパワーを増強して、毅然と取り締まるべきだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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