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「社長になりたい」外国人留学生が日本人を大きく上回る

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サラリーマンになったからには社長を目指します――。外国人留学生は、日本人大学生よりも出世意欲が高い傾向にあることが、就職情報会社ディスコの調査で分かった。こうした意欲の強さに期待して、留学生を採用する企業が急増している。
「勤務地にはこだわらない。世界中どこでも働く」
4月に金融関連会社への就職が決まった一橋大学院2年の中国人女性留学生(23)は、来春からの仕事に期待を膨らませる。約20社の採用試験に応募し、「雰囲気が自分に一番合う」と思っていた第1志望の会社に入れることになった。
(中略)
ディスコは3月、2015年3月卒業予定の外国人留学生4092人を対象に、職業観や就職活動状況などについて調査した。計113の国公立と私立大に通う313人から回答を得た。
その中で、「将来どこまで出世したいのか」という質問には、35.8%が「社長」と答えた。ディスコの日本人学生向けの調査で、「社長」と答えたのが13.7%にとどまったのとは対照的だ。(朝日新聞 5月9日)

上昇志向はエネルギーの源であり、人間に備わった固有の産物である。社内で偉くなりたいと野心を持つことはごく自然な志向性だが、これが同期を押しのけてもとなると、もういけない。同期の些細な活躍にもジェラシーの火を燃やし、社内政治を意識するようになり、心の奥底に潜んでいた醜悪な芽が開いてしまうのだ。

こうなると、利他の心を説いたところで心が受け付けない。世のために、あるいは他人を幸せにするために働くことが仕事の本義だが、それよりも、出世欲に心が独占されてしまう。物事を判断する基準は、出世にプラスかマイナスか。これに尽きてしまうのだ。

本来、40歳にもなれば利他の心を身につけていて然るべきだが、新入社員の時分から日々これを意識すれば、仕事の仕方も違ってくる。中堅層になった頃には、健全な上司として若手を指揮できるようになる。

学生が将来社長をめざすことは、若者らしくて微笑ましい。その目的が名誉栄達という低劣な次元にとどまのか、世のため人のためにおよぶのか。これは教育によっていくらでも修正が効く。問われるのは教える側の心のレベルである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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