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独身女性の3人に1人は専業主婦を希望

shufu

「一流企業には入りたいけど、子供が生まれたら子育てに専念したい」。難関国立大学に通う女子学生たちが口々にそう言うのを、一橋大大学院商学研究科のクリスティーナ・アメージャン教授は、複雑な思いで聞いている。
みんな成績優秀だが、野心はかつての若者ほどにないと感じる。
アメージャン氏は1980年代に日本企業に入社。ハーバード大を出た自分の仕事は、灰皿の片づけだったのを思い出す。

「過去に比べて改善したと、日本企業は満足してはいけない。国際競争が不可避のいま、男性ばかりの組織が世界でいかに異様かを知るべきだ」とアメージャン氏。
多くの日本企業は残業、飲み会で長時間労働が前提だ。
家事で夫の助けは、たいして期待できず、子育てをしながら働くことが「女子学生には魅力的にみえない」と指摘する。

共働き世帯が増え、安倍晋三政権が一層の女性活用を働きかける一方で近年、女性の間で専業主婦願望が高まっている。
厚生労働省の調査では、独身女性の3人に1人は専業主婦を希望。
内閣府の2012年の調査では「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」と考える人の比率が前回(09年)より10.3ポイント上昇し51.6%になった。20代では20ポイント近く伸びた。(Sankei Biz 4月22日)

経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議が4月22日、労働時間規制の見直し案を提示した。
年収1000万円以上の高い能力を持つ専門職などの労度時間の規制を見直そうという趣旨だ。
残業代の未払いをよいことに、長時間労働の助長が懸念されているが、どうも気の抜けたような話題である。

この案を提示する前に、ふたつの会議とも、まずは上場企業にすら見なし残業手当を支払って働かせ放題の企業がある産業界の実態を解明すべきだ。
中小・ベンチャー企業にいたっては、マンパワー不足から労働基準監督署の指導が及んでいない。
ブラック企業問題が片づかない限り、女性の社会進出は政府の思惑通りには進まないだろう。
当面は、一部の企業での女性幹部層の増加をもって、政策の成果が出たと自己評価するしかあるまい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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