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東芝提携先の元社員を不正競争防止法違反で起訴

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東芝の半導体の研究データを、転職した韓国の企業に不正に提供したとして逮捕された提携先の企業の元社員が、コピーして持ち出したデータを、転職先の社員らにスライドを使って見せたほか、メールで送信していたことが捜査関係者への取材で分かりました。
見返りとして年間千数百万円の報酬を受け取っていたということで、検察庁は3日、元社員を不正競争防止法違反の罪で起訴しました。起訴されたのは、東芝の提携先の半導体メーカー「サンディスク」の元社員、杉田吉隆被告(52)です。
起訴状によりますと、杉田被告は営業秘密として管理されていた「フラッシュメモリー」という半導体に関する研究データを、自分が転職した韓国の半導体大手「SKハイニックス」に提供したとして、不正競争防止法違反の罪に問われています。捜査関係者によりますと、杉田被告は研究が行われていた東芝の四日市工場で、会社のパソコンにUSBメモリーを接続し、11のファイルをコピーして持ち出したということです。
そして転職後、「SKハイニックス」の社員らにスライドを使って見せたほか、メールで送信していたということで、見返りに年間千数百万円の報酬を受け取り、高級マンションや車も与えられていたということです。杉田被告は「元の企業での待遇に不満があり、転職のためにやった」と供述しているということです。(NHK NEWSWEB 4月3日)

機密保持契約書を結んだり、セキュリティシステムを強化したりしても、まるで漏斗から水が漏れるように情報が流出されていく。
機密情報を漏洩させる動機は、金銭目当てか会社への怨恨のいずれかである。金銭目当てでも、その根っこにあるのは怨恨だろう。

違法行為と同列に扱う話題ではないが、痛くない注射針の開発で知られる岡野工業社長の岡野雅行氏が技術者の心情を教えてくれたことがある。
3年前、大手電気メーカーが続々と大量リストラを行なった直後に、墨田区の岡野工業を訪ねたときだった。

岡野氏は「大手電気メーカーみたいに大量にリストラをやると、どうなると思う?」。下町江戸っ子の語り口調でこう続けた。
「リストラされた技術者は韓国企業に移って、もっと高い技術を開発して元の会社を見返してやろうと意気込むだろうよ。だから大手電気メーカーがダメになったのは、自業自得だよ」。
恨みを買う人事は、いずれ自社にはね返ってくるものだ。これは自然の法則である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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