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入社式で各社のトップが語った「迎える言葉」

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約71万人が臨んだ2014年の入社式で各社のトップは新人に、世界市場で活躍できる人材になることなどを求めた。
新日鉄住金は1日、本社ビルで入社式を開いた。同日付で就任した進藤孝生社長は「国内製鉄所の競争力を強化することと、海外収益の強化・拡大が皆さんの歴史的な使命だ」と呼びかけた。
同じく
1日に就任した日立製作所の東原敏昭社長兼最高執行責任者(COO)も「グローバルで勝てるメジャープレーヤーとなるため、一緒に挑戦しよう」と訴えていた。
武田薬品工業では6月に社長に就任する予定のクリストフ・ウェバーCOOが「製薬業界は変化が速い。情報収集力を磨いてほしい」と求めた。
原則重視を求める声もある。日本郵政の西室泰三社長は「サービス提供の現場こそが最も重要」と説いた。
英語での入社式も少しずつ広がっている。日産自動車のカルロス・ゴーン社長は「今年度は中期計画の折り返し地点。志の高い目標だが、十分に達成可能だ」とスピーチ。
楽天の三木谷浩史社長も新入社員に「皆さんは今日からプロのビジネスマンの仲間だ」と語りかける場面があった。(日本経済新聞 4月2日)

各トップの言葉は活字だけではいかにも凡庸である。
ライブで聞けばインパクトがあったのかもしれないが、メディアが場内に陣取っていることもあって、立場上、差しさわりのない式典言葉ですませたのかもしれない。

式典の祝辞で思い出すのは、東日本大震災の直後に、立教新座高校の渡辺憲司校長が卒業生に向けて贈った「時に海を見よ」と題する魂をゆさぶるような祝辞だ。
この祝辞は同校のホームページにアップされたことから、あっと言う間に全国を駆け巡り、「週刊ポスト」は全文を掲載した。
3年後の今年3月、やはり渡辺校長は卒業生に向けて剛毅な言葉を贈っていた。一部を紹介しよう。
「そして今日からは愛される存在から愛する存在へと変わるのだ。人を愛することこそ、君らの旅の指針だ。求めるべきは富ではない。富よりも、名誉よりも、大切なのは人を愛することだ。器用に生きるな、愚直でいい、ひるまず、真っ正直に、やさしい男になれ」

新社会人にも贈りたいメッセージである。名誉栄達は求めれば逃げていく。仕事は利を与え続けてこそ見返りを得られるのだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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