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経産省とJICA、中小企業の社員に海外インターンシップ

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経済産業省や国際協力機構(JICA)は中小企業の新興国に精通した人材を育てる制度を拡大する。
アジアを中心に現地企業や非政府組織(NGO)などに若手社会人を送り込み、経験を積ませる。
現地進出に必要な情報や人脈を求める企業の社員教育の必要性が高まる一方、ノウハウを持たない中小企業は多い。こうした企業を支援し、進出を後押しする。

経済産業省は日本貿易振興機構(ジェトロ)と組み、秋から冬に3カ月~5カ月程度現地企業に派遣するインターシップの募集枠を昨年実績の1.5倍となる230人に増やす。
事業を始めた2012年は大企業の社員が多数を占めたが、昨年は中小企業からの応募が3割近くに増えていた。
JICAは青年海外協力隊(JOCV)の制度を使い、民間企業の社員を民間連携ボランティアとして現地のNGOや自治体などに派遣する。
派遣者数を今後2~3年で50人規模と現在の2.5倍に増やす。両制度とも、企業が国や地域を選択できる。(日本経済新聞 3月25日)

大手企業が新入社員を続々と海外研修に派遣するニュースに触れるつど思うことがある。
グローバル競争に対応できる人材が輩出されていくのだろうという期待がひとつ。それから、中小企業との人材格差も生じてしまうのかという懸念だ。
中小企業の振興策をいくら打ち出しても、人材格差が生じてしまっては、何かにつけ大手に果実を持っていかれる悲哀を払拭できまい。
中小・ベンチャー企業を取材フィールドにしてきた記者の立場からすれば(報われないままに社業を営んでいくのか・・・)と落胆の思いがしないでもない。

その意味で、経済産業省やJICAの取り組みは朗報である。光明がさしたとまでは言わないが、この制度によって有為な人材が続々と育つことを期待したい。
仮にTPPが締結されれば、ISD条項の乱用によって、日本企業が窮地に追い込まれる場面は容易に想像がつく。
日米間のビジネスに緊張感が格段に増していくことは必至だ。
国を挙げて中小企業の人材にグローバル競争力を養う機会を設けてほしいものだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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