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従業員13人で子育て支援認定「くるみん」マーク取得

kurumin

仕事と育児の両立支援に積極的に取り組む企業に与えられる「くるみん」マークを、従業員13人の企業が取得した。千葉市花見川区の社会保険労務士法人「ハーモニー」。県内ではこれまでに38社が取得しているが、従業員数では同社が最少となる。中小企業の両立支援は簡単ではないが、代表の徳永康子さん(63)は「小さな企業も努力で出来ることはたくさんある」と話す。

「従業員が1人休んでも、仕事がまわるような環境をつくることが大事。そのための制度を作った」同社で両立支援の制度設計を担当した従業員の岡本亨さん(31)はこう話す。同社の従業員は男性が4人で、残りは女性。女性従業員のうち6人が高校生以下の子供を持つ。男性も2人が、子育て世代だ。

従業員の少ない同社では、助け合いが欠かせない。それまでは日ごとだった有給休暇を小刻みに時間単位で取れるようにし、弾力的に使えるようにした。時短勤務制度も導入した。岡本さん自身も、夏に第1子が誕生する予定。自身も育児休業をとりたいと思っている。(読売新聞 3月18日)

千葉県内で従業員数が最少の法人がマークを取得したが、従業員数もさることながら、取得したのが社会保険労務士法人であることに注目したい。クライアント企業に労務管理を指導する法人が、みずから労務管理の範を示したのである。説得力を発揮する事例だ。自法人で実証した手法をクライアントの実情に合わせて移植できれば、普及の度合いも違ってこよう。

ワークライフバランス(WLB)の確立はおもに女性従業員の離職防止から論じられがちだが、これは本筋ではない。人手が足りていようと、足りていまいと、WLBの確立はそれ以前の問題である。従業員は生活者であるという当たり前の現実に向き合うことが、雇用側に求められている。

生活者を雇用するのだから、WLBなどという概念を持ち出さなくとも、仕事と生活の両立を支援するのは道義である。しかし仕事と生活の両立が経営テーマになるほど、滅私奉公の文化が根強く染み付いているのだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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