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外国人 実習後に就労資格 最長5年

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政府は2019年4月にも外国人労働者向けに新たな在留資格をつくる。最長5年間の技能実習を修了した外国人に、さらに最長で5年間、就労できる資格を与える。試験に合格すれば、家族を招いたり、より長く国内で働いたりできる資格に移行できる。5年間が過ぎれば帰国してしまう人材を就労資格で残し、人手不足に対処する。外国人労働の本格拡大にカジを切る。
政府は単純労働者の受け入れを原則、認めていない。一方で働きながら技能を身につける技能実習の範囲拡大や期限延長で事実上、単純労働者の受け皿をつくってきた。幅広く就労の在留資格を与える制度の導入は大きな政策の転換点になる。
政府は今秋の臨時国会にも入管法改正案を提出し、来年4月にも新制度を始める方針だ。
(日本経済新聞 4月12日)

日本の在留している外国人技能実習生は約128万人。この5年で約60万人増加した。人手不足対策として、政府はさらに5年の延長措置を講じて最長10年の在留を認めるプランを描いている。だが、実習終了後に母国に帰って技能を移転するという制度の趣旨との整合性をどう図るのだろうか。
厚生労働省が介護事業者向けセミナーで配布した資料には、次のように書かれている。

「2025年に向けた介護人材の確保は、国内人材の確保対策を充実・強化していくことが基本。外国人介護人材の受け入れは、人材不足への対応ではなく、各制度の趣旨に沿って進めていく。EPA(経済連携協定)は経済活動の連携強化を目的とした特例的な受け入れ、技能実習は日本から相手国への技能移転、資格を取得した留学生への在留資格付与は専門的・技術的分野への外国人人材の受け入れである」(要約)
制度の趣旨から現実がどんどん乖離してゆくが、優先すべきは現実である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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