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連合、5%程度の賃上げ要求

連合は12月1日、千葉県浦安市内で第89回中央委員会を開催し、役員・中央委員・特別中央委員・傍聴者などあわせて約330名(うちWEB参加者約150名、女性参加者の割合は21.2%)が出席した。
 冒頭挨拶で芳野会長は、2023春季生活闘争について、労働者が物価高・円安・コロナ禍の「三重苦」の中にあることに触れたうえで、マイナスが続く実質賃金の動向を踏まえ、すべての働く者の賃金をしっかりと引き上げなければならないと訴えた。そして、政府に対し、労働者の7割を占める中小企業においても5%程度の賃上げが実現できる環境を整えるよう求めた。
 そして、政府が検討中の「新しい資本主義」についても触れ、労働移動そのものが主たる政策目的であってはならず、まして、その促進という理由で解雇規制や労働法制の緩和につながるような議論は許されない、持続的な成長と分配の好循環を達成するためには、短期・中長期にわたる賃上げが不可欠だとの考えを示した。(連合作成ニュースリリースを要約 12月2日)

 サッポロビールは2023年4月1日から71品目の生産者価格を引き上げると発表した。 ワインは4%から最大で37.5%値上げし、焼酎は全体の7割以上商品を2.8%から最大で5.3%値上げする。食品に続いて酒類も値上げがはじまる。
 電気料金の値上げも顕著で、冬場の電気使用量が多い北海道では、有料老人ホームが入居料を月1万円値上げした例もあるそうだ。駐車場の積雪をロードヒーティングで防いでいるため、使用電気料金が一気に上昇して入居料に手を付けざるを得なかったのだ。
 しかし入居者にとっては、在宅生活が困難になったから入居した以上、値上げを理由に退居するわけにはいかない。家族は経済力が問われる事態に直面している。
 こうした生活コストの上昇を踏まえて、連合は、第89 回中央委員会で2023 春季生活闘争方針を確定した。生活闘争とはずいぶん古めかしい用語だが、これだけ値上げが続くと生活にも闘争という要素が加わっていくのは当然かもしれない。
 生活闘争方針は「GDPも賃金も物価も安定的に上昇する経済へとステージを転換し望ましい未来 をつくっていくことが必要だ。国・地方・産業・ 企業の各レベルで、日本の経済・社会が直面する問題に対する意識の共有化に努め、 ステージを変える転換点とする必要がある」と主張したうえで、①生活がより厳しい層への手当てが不可欠であり、規模間、雇用形態間、 男女間の格差是正を強力に進める必要がある②賃上げ分 を 3%程度、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含む賃上げを 5%程度とする――と提言した。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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