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転職相談の3人に1人は「転職すべきでない人」

転職相談の3人に1人は「転職すべきでない人」

「面談に来る3人に1人は転職するべきでない人」――。エン・ジャパンが2015年6月24日に発表した転職コンサルタント対象のアンケート結果で、「転職相談をした方の何割が転職せずに今の仕事にとどまるべきだと思いますか?」の問いに42%が「3割以上」と回答したことが明らかになった。同社が運営する人材紹介会社集合サイト「エン転職コンサルタント」の中で、転職コンサルタント172人を対象に行った「転職すべき人・現職にとどまるべき人」についてのアンケート結果によるもの。終身雇用制度が崩れつつある中、1つの会社にとどまらずキャリアを積むために転職をするということが一般的になってきたが、転職を検討している3人に1人は転職せずに現職にとどまるべき、と感じている転職コンサルタントが多いことが今回の調査で分かった。
また、コンサルタントの多くは「安易な転職をするべきではない」という点をアドバイス。「明確な課題があり、それを解決する最終手段なので、安易に転職という手段を選ぶべきではない」「『何のための転職か』を書き出して、冷静に考えること」といった指摘があった。
転職すべきか現職にとどまるべきかを見極めるための方法としては、多くのコンサルタントが「キャリアの棚卸しを行い、キャリアプランを見直す」(65%)を勧めている。「今の職場での課題を解決するために努力をする」「キャリアの棚卸しをする」「転職エージェントに相談する」という3点を押さえることが、転職成功のカギになるといえそうだ。
7月1日 monoist 転職相談の3人に1人は「転職すべきでない人」

 

人材紹介業を営んでいる者からすると、こでは中々興味深いデータですね。

現在はリーマンショック前の06-07年頃にピークを迎えた求人バブルと同じかそれ以上の好況であり、首都圏の営業職では求人倍率は5倍近く、WEB系のエンジニアに至っては10倍近いという話もチラホラ伺います。

このようなご時世では人材紹介エージェントはいくらでも紹介できる顧客・求人があり、たとえ案件が無くても優秀な人材(キャンディデイト)さえいれば、顧客に提案を行い、新たなポジション作れるという、「大変良い時代」だと考えます。

ちなみにリーマンショック後は求人も少なく、且つ転職希望者・失業者も多かったので、多くの企業は必要な人材を広告や人脈で採用できており、エージェントも自分の食い扶持を確保することが難しい時期でした。そのため、自分の食い扶持を稼ぐべく、ブラック企業でも、離職率高い会社でも、明らかに転職すべきではない方(考えがまとまっていなかったり、転職しても問題が解決しないような場合)でも、とにかく何でも推薦して、突っ込もうとする動きがありました。これはエージェントの中でもフルコミッション型の給与体系を採っている会社などでは顕著に見られました。入社時の成功報酬がそのエージェントのサラリーに直結しますからね。

最もそのようなエージェント冬の時代でも、仕事に真摯に向き合い、プロフェッショナルとして、「転職を思いとどまらせて、バリューアップしてからクロージングする」信頼できるエージェントもいましたが、少数派であった記憶があります。

果たして今の様な「大変良い時代」では無くなってしまったとしても、「転職せずに現職にとどまるべき」という的確なアドバイスができるのか?良心を持ち続けていけるのか?エージェントも人間としての本質が試されますね。

三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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