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リクルートがキャリアカーバーをローンチ、ビズリーチに対抗

リクルートが新サービス”キャリアカーバー”をローンチ

先日リクルートが「キャリアカーバー」というサービスをローンチした。キャリアカーバーはエグゼクティブ層向け転職サイトであり、この領域で専攻するビズリーチに対抗するサービスとなる。エン・ジャパンもこれまでの「en 転職コンサルタント」をいくつかのレイヤーに分け「Executive」クラスをオープンし、マイナビも「マイナビエグゼクティブエージェント」というサービスを展開している。

どうも世の中エグゼクティブだらけのようだ。ただ各サイトの掲載案件は年収800万円程度のものが多く、年収だけを見るとエグゼクティブなのか?という印象を持ってしまい、何をもってエグゼクティブなのかちょっとよく分からない混迷した「エグゼクティブ層向け転職サイト」が乱立している印象だ。(まぁ私もはっきりとしたエグゼクティブの定義はしていないのだが・・・)

高年収帯転職サイトを比較する

ちなみに各社のビジネスモデルは登録者(求職者)はビズリーチを除き無料での登録が可能であり、掲載案件はビズリーチを除き年収下限は800万円としている。対紹介会社に成功報酬ベースでマージンを取るフィー体系は共通しており、エンジャパンのみ月額課金+成功報酬というパターンが存在する。
掲載案件(参加する紹介会社)が同じなのであれば、登録者としては無料媒体を活用する方がお手軽であり、ビズリーチのB2C事業は非常に厳しい環境に置かれることになる。

登録者 掲載案件 対紹介会社
ビズリーチ 課金/無料 年収、ポジション制限なし 成功報酬
キャリアカーバー 無料 年収800万円以上 成功報酬
エン・ジャパン 無料 年収800万円以上、
CXO案件のみ
月額課金+成功報酬/成功報酬
マイナビ 無料 年収800万円以上 成功報酬

各社がエグゼクティブ層向けのサービスを充実させたい理由は極めてシンプルで「成功報酬のフィーが高い」からだ。従来、転職サイトは人材紹介会社からの広告費で事業を運営してきたが、成功報酬モデルの求人サイトの登場で広告モデルが崩れていき、成功報酬モデルに切り替わっている。

成功報酬モデルは、紹介会社の売上の15~30%程度(概ね決定人数でボリュームディスカウントする)を使用料として加算していくものが概ね各社共通している。いくつかのリテイナーファームや固定フィーモデルの企業を除き、人材紹介業のフィー体系は決定年収の25~35%(医療系はもっと低いので除く)であるため、高年収層を取り込むことは成功報酬型の求人サイト運営会社にとっても単価向上につながるのだ。

さて、今後の求人サイト(エグゼクティブ層向けを含む)のトレンドだが、ヤフーとGoogleにどれだけ寄付するのか、いや広告宣伝費を投じて、登録者を確保できるのかには注目したい。特にリクルートは後発だった医療系人材紹介・派遣市場では赤字覚悟の広告投資を継続して市場を取りに行ったこともあり(最もリクルートはWEBもリアルも全部やったので赤字になったのだが)、このキャリアカーバーについても同様の取組をしてくるかもしれない。そうなると体力勝負の世界に突入し、リクルートのような巨額な投資余力のない企業は徐々に苦しい立場になることが予想される。

横綱参入のエグゼクティブ層向け求人サイト市場、プレイヤーが出揃ってきた。サービスそのものは各社共通しているため、パクリ合戦が当然の様に展開されるであろうが、高年収帯の求職者がどのように反応していくのかは興味深い。また同領域はリクルートがお得意の買収に走らなかった(走れなかった)のが吉と出るか凶と出るか趨勢を見守りたい。


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三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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