2026/11/06

電機・光学メーカーのコニカミノルタ(東京都千代田区)は7月、高度な専門スキルを持つ人材を事業横断で活用する「スキルシェア制度」(社内副業)を導入し、SNSを中心に話題を集めた。
1案件当たり最大月20時間、最長3カ月にわたり、社員が現在の部署に所属したまま、他部門で“社内副業”という形で働ける仕組みだ。業務時間に応じた追加手当も支給する。
2025年から実施した2回のトライアルでは、36件の業務依頼のうち27件で、担当する社員とのマッチングが成立。外部委託費の抑制や、これまで手が回らなかった業務の推進といった効果も確認できたという。
(中略)
スキルシェア制度は、社員が現在の部署に所属したまま、専門スキルを生かして他部門の業務に取り組む仕組みだ。人材育成を主な目的とするインターンシップとは異なり、専門性を生かして実際に業務上の成果を出すことを重視している。
一般的な兼務の仕組みでは、本業の勤務時間の一部を別部門の業務に充てる方法もある。一方、コニカミノルタのスキルシェア制度は、本業の時間は削らず、通常業務の成果や品質も維持することが前提だ。その上で、専門性を生かした追加業務に取り組むとしている。
(ITmedia ビジネスオンライン 10月26日)
コニカミノルタが導入した「スキルシェア制度」は、社員が現在の部署に所属したまま、専門性を生かして他部門の業務を担う仕組みだ。2025年からの2回の試行では、36件の業務依頼のうち27件でマッチングが成立し、外部委託費の抑制や、手が回らなかった業務の推進につながった。注目すべきは、社内副業という新しい働き方以上に、専門性を組織の中でどう流通させるかという発想である。
企業では、人材を部門ごとに配置し、業務と役割を割り当てる。これは責任の所在を明確にする一方、ある部署に必要な能力が、別の部署に眠っているという事態も生みやすい。社員の専門性は、その人が所属する組織の所有物ではない。しかし、従来の組織運営では、専門性が部署の境界を越えて活用される機会は限られていた。
スキルシェア制度は、その境界を一時的に開き、社内に分散する能力と仕事を結び直す試みといえる。外部に委託していた仕事を社内で担えれば、費用を抑えられるだけでなく、知識や経験を社内に蓄積できる。
ただし、本業の成果と品質を維持したまま追加業務を担うという条件は、社員の意欲だけに頼れば負担の増加にもつながる。制度を持続させるには、業務量や評価、上司の理解を含めた運用が欠かせない。
人の能力は、配属された場所だけで、その可能性のすべてが決まるわけではない。いまの仕事では出番のない知識が、別の誰かの困りごとを解くこともある。社内に眠る専門性が、必要とする仕事と出会う。その小さな接点の積み重ねが、組織の見え方を少しずつ変えていくのかもしれない。
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