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『CEO』導入企業が過去最多 5年間で1.6倍に増加

 帝国データバンクは、信用調査報告書ファイル「CCR」(200万社収録)など自社データベースから分析可能な各年約25~27万社を基に、企業の代表者における「肩書」のうち、「CEO」を採用している企業について分析を行った。
 日本企業のトップの肩書といえば、これまでは「代表取締役社長」が一般的だった。しかし近年、「CEO(最高経営責任者)」を採用する企業が着実に増えており、こうした「CEO導入企業」は2026年10月時点で1911社判明した。
前年(1724社)から187社増えたほか、過去5年間で1.6倍に拡大し、データのある2019年以降で最多となった。役職を分析可能な全企業(約27万社)に占める割合は約0.7%にとどまるものの、CEOを採用する企業は着実に増加している。
2026年に新たにCEOを採用した企業(新設法人等を除く)は170社判明した。業種別にみると、IT関連やコンサルティング業などの「サービス業」が64社で最も多く、CEO制度導入の中心となった。続いて「製造業」が42社でサービス業に次ぐ規模となった。「卸売業」は30社で、2022年(13社)から2倍超に増えた。
新たにCEOへ移行した企業のうち、製造業と卸売業を合わせると72社となり、全体の4割超を占めた。CEOは一部の企業に限られた肩書から、幅広い業種で採用される経営トップの肩書へと変わりつつある。
(帝国データバンク 10月25日)

帝国データバンクの分析によると、CEOを代表者の肩書に採用する企業は2026年10月時点で1911社となり、前年から187社増えた。2026年に新たに移行した企業では、製造業と卸売業が合わせて4割超を占める。CEOという呼称は、IT企業やコンサルティング会社だけでなく、伝統的な産業にも広がり始めている。
この変化を、経営の国際化や近代化が進んだ証しと受け取るのは早い。肩書を変えることと、経営のあり方を変えることは別だからだ。CEOは最高経営責任者を意味するが、日本企業では代表取締役社長とどのように役割を分けるのか、取締役会との関係をどう設計するのかによって、その実質は異なる。呼称だけを導入しても、意思決定の権限や責任の所在が従来のままなら、変わるのは名刺の表記にとどまる。
製造業や卸売業で導入が増えている点には意味がある。市場や技術、供給網の変化に応じて、現場の判断と全社の戦略を結び直す必要が高まるなか、経営トップの役割を明確に示そうとする動きとも読める。ただし、今回の数字が示すのは肩書の採用状況であって、導入企業の業績や統治の質を証明するものではない。
肩書は、企業がめざす姿を外に示す言葉でもある。だが、その言葉が社内でどれほど重みを持つかは、名刺を見ただけではわからない。決断の責任を引き受け、結果と向き合い、次の一手を選ぶ。その日々の営みのなかで、肩書は少しずつ意味を帯びてゆく。CEOという3文字が、たんなる呼称ではなく、その企業の経営を表す言葉になるか。答えは、これから積み重ねられる仕事のなかにある。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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