2026/10/15

富士通では、リファラル採用を通じた入社者数が500人を超え、内定承諾率は94.3%に達している。人材獲得競争が激しさを増す中、なぜこれほどの成果を上げられたのか。その背景には、ジョブ型人材マネジメントへの転換を起点に、採用の在り方そのものを変えてきた取り組みがある。Employee Success本部人材採用センターのセンター長を務める大平将一氏の講演から、富士通が進める採用変革の歩みを紹介する。
(中略)
同社がリファラル採用を導入したのは2018年。最初の2年間は「導入期」として社内での認知度向上に取り組み、続く3~5年目は「拡大期」として、広がった認知をもとに実績を積み上げてきた。
現在は「発展期」と位置付け、キャリア採用の中でも「突き抜けた採用チャネル」に育てるべく、より戦略的に効果を出せる施策の検討・実行を進めている。その結果、採用チャネル全体に占めるリファラル採用の比重は高まり続けているという。
こうした取り組みによって、リファラル採用を通じた入社者数は500人を超え、2025年度の内定承諾率は94.3%に達した。その要因について大平氏は、「表面的な良いことだけでなく、リアルな情報を提供する社員からの紹介によって、業務や職場への解像度が上がり、ギャップが少なくなる。これがリファラル採用の大きな強みだと考えています」と説明する。
(Japan Innovation Review 10月6日)
富士通のリファラル採用による入社者数は500人を超え、2025年度の内定承諾率は94.3%に達した。注目したいのは、2018年から「導入期」「拡大期」「発展期」と段階を踏み、採用チャネルとして育ててきたことである。
リファラル採用の強さは、社員が会社の良い面だけを語らないところにある。実際の仕事や職場を知る社員だからこそ、入社後の現実まで伝えられる。その情報によって仕事や職場への解像度が上がり、94.3%という高い承諾率につながった。
ここでジョブ型人材マネジメントへの転換が効いてくる。仕事の内容や求められる能力が明確になれば、社員は「うちの会社はいい」と抽象的に勧めるのではなく、「この仕事なら、あなたの経験が生かせる」と具体的に語れる。紹介する側とされる側の距離が縮まる。
しかも、これを採用チャネルとして定着させることには、経営上の意味がある。求人媒体や広告にその都度費用を投じるだけでなく、社員との信頼関係を通じて継続的に人材との接点を生み出せるからだ。
採用のたびにゼロから候補者を探すのではなく、社内に蓄積された人間関係を人材獲得の基盤に変えてゆく。500人という数字は、その仕組みが一時的な施策を超えたことを示している。
人材採用は、人事部門だけの仕事ではない。社員が自分の仕事を語り、その言葉を聞いた人が働く場所を選ぶ。そこには、会社の価値が、働く人の実感を通して伝わってゆく姿がある。リファラル採用の価値は、紹介者の数ではなく、社員の信頼を企業の採用力へ変えるところにある。
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