2026/10/09

パーソル総合研究所の調査によると、管理職退任後の役割は、自ら成果を創出する「プレーヤー」が47.2%と最多。定例業務・他者支援を担当する「サポーター」19.7%、組織内外の調整を行う「コーディネーター」18.7%、後進指導・育成を担う「メンター」が13.5%だった。
元管理職の67.5%は最高職位が課長相当。元課長は平均42.0歳で管理職に就き、53.9歳で退任しており、管理職経験は平均11.1年。65歳まで勤務する場合、退任後の就業期間も11.1年となり、管理職として働いた期間と同程度になる。
一方、管理職退任者の35.3%が想定外の理由で退任し、組織改編による退任(全体の15.2%を占める)では81.0%が「想定外」だった。また、25.1%は想定より早く退任。退任の説明(内示)が「説明なし」または「1か月以内」だった人も39.1%にのぼる。
退任後、希望した役割と実際の配置が一致した人では高適応群が41.9%で、不一致の人の31.6%を上回った。一方、希望する役割がなかった人では低適応群が54.2%と過半数を占め、不一致の人より約20pt高かった。
パーソル総合研究所の藤井薫上席主任研究員は、退任後について「適応を左右しているのは、①退任前の理解と準備、②役割の設計と本人希望との一致、③経験・スキルの活用度、④退任後の職場運営(役割の説明・対話・目標設定・評価・承認)」と指摘する。
(パーソル総合研究所作成ニュースリリースを要約 9月25日)
管理職の退任は、会社員人生の終幕ではない。むしろ、もう一つの長い職業人生の始まりである。元課長が平均42.0歳で管理職となり、53.9歳で退任する。65歳まで働けば、その後に残された11.1年は、奇しくも管理職として過ごした時間と同じ長さになる。この事実を企業はもっと重く受け止めるべきだろう。
ところが現実には、退任者の47.2%がプレーヤーとなる。もちろん、自ら成果を生む仕事に戻ること自体が問題なのではない。問題は、長年かけて蓄積した管理職経験を、企業が個人の肩書と一緒に取り上げてしまうことである。
管理職が培ったものは、部下を指揮する技術だけではない。組織の利害を読み、人を育て、衝突を調整し、曖昧な状況で判断する力である。それなのに、退任後の役割としてメンターは13.5%、コーディネーターも18.7%にとどまる。これは人材の若返りとは別の問題である。蓄積された経験を組織の資産へ変換する仕組みが弱いのである。
さらに深刻なのは、35.3%が想定外の退任だったことだ。突然肩書を外し、その後に「新しい役割へ適応せよ」と求める。それは人事というより、組織による「意味の剥奪」に近い。
役職には定年があってよいが、経験に定年を設けることは合理的でない。問われている管理職の経験から肩書を引き算したあと、企業がその人の職業人生をどう再構成するか。なお価値を見いだせるかどうかは企業の能力にかかっている。
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