2026/10/08

生産性の向上とは、単に人を減らすことでも、コストを削ることでもない。投入した経営資源に対して、付加価値をどうつくり、どう高めるかが重要になる。キーエンス出身のコンサルタントが生産性の本質を説く、『生産性の高めかた』(かんき出版)から抜粋。「売上を10倍にするには、人も10倍要る」という発想では生産性は上がらない。さらに、生産性をコストとの関係で捉えると、人件費の削減へと議論が向かいかねない。
(中略)
もし誤った数式(付加価値額÷コスト)で生産性を計算すると、人件費を「コスト」として扱ってしまうのです。すると、経営者から「生産性を上げろ」と言われた現場は、人件費を削ろうとしてしまいます。しかし、生産性を考えるうえで、人件費はコストには入りません。
なぜか。人件費(給与)は付加価値額の中に含まれる数字だからです。付加価値額とは日銀方式の加算法において、付加価値額=経常利益+人件費+賃借料+減価償却費+金融費用+租税公課という計算式になっています。
このように計算式を見ると明らかですが、人件費は付加価値額の中にあります。ですから、人件費を増やしても、付加価値額は減らないのです。
つまり、生産性という観点において、人件費は「増やしてもまったく問題ない数字」なのです。言い換えると、「増やしてもいいが、減らしてはいけない数字」なのです。
(Japan Innovation Review 9月25日)
生産性向上という言葉が、人件費削減と結びつきやすいのは、企業が生産性を「いくら使ったか」によって測ろうとするからだろう。記事が指摘するのは、その出発点となる計算式の問題である。
日銀方式の加算法では、付加価値額に人件費が含まれる。したがって、人件費を単純なコストとみなし、減らすほど生産性が上がると考えるのは、そもそもの概念を取り違えている。むしろ重要なのは、同じ人数、あるいはより多い人件費を使って、どれだけ大きな付加価値を生み出せるかという発想だ。
ここで興味深いのは、「売上を10倍にするには、人も10倍要る」という発想への批判である。売上の拡大と人員の増加を比例させれば、事業は規模に応じて重くなる。生産性とは、人を減らして身軽になることではなく、人が増えなくても価値を増やせる仕組みをつくることにある。
その意味で、人件費は削減対象ではなく、付加価値を生み出す経営資源として捉え直す必要がある。問われるのは、その給与を受け取る人が、どのような仕事をし、どれだけ新しい価値を生み出せる環境を会社がつくるかである。
人を「費用」として見れば、削ることが成果になりやすい。しかし、人が仕事を通じて身につける経験や判断力、周囲との関係まで考えれば、給与はたんなる支出ではなく、未来の価値を育てる原資になる。人を減らすことで数字を整える経営より、人が働く時間の中身を変え、その力を価値へ結びつける経営のほうが、生産性という言葉にふさわしい。
人件費をどう扱うかは、数字の問題であると同時に、会社が働く人をどう見ているかという問題でもある。
ヘッドハンティング会社から電話があったときに確認す...
3大メガ時代でどうなる損害保険業界?損保業界研究レ...
日立 東芝 三菱重工業から見る日本の重電業界...
人材紹介業の動向、大手・中小人材紹介会社の今後とは...Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。