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今年に賃上げ「あった、ある予定」30%、昨年7月比4ポイント増

コンサルティングを行う紀尾井町戦略研究所(東京都港区)は、8月19日と20日に全国の18歳以上の1000人を対象にオンライン調査を実施した。
月給などの給与について、今年になって賃上げがあったか、もしくは今年ある予定かを聞くと、「賃上げがあった、もしくはある予定」30.4%(前回25年7月8日調査25.6%)、「賃上げはなかったし今後もない」24.7%(29.5%)、「賃金が減った、もしくは減る予定」4.6%(5.1%)などとなった。
賞与(ボーナス)や手当など給与以外の収入額が、今年になって「変わらない」33.6%(前回25年7月8日調査33.1%)、「増えた、もしくは増える予定」16.7%(13.2%)、「減った、もしくは減る予定」9.8%(10.7%)などとなった。
5年後の自分の収入は「変わらないと思う」28.4%(前回25年7月8日調査33.9%)が最多で、「減る、もしくはなくなると思う」25.9%(24.7%)、「増えると思う」16.9%(14.0%)と続いた。
現在の収入に対する不満(複数回答)は「インフレや物価上昇に対応できない」45.4%、「生活したり家族を養ったりするには足りない」23.7%(25.8%)、「定期的な賃上げやボーナスがない」16.9%(17.8%)となった。
(紀尾井町戦略研究所作成ニュースリリースを要約 9月20日)

この調査で目を引くのは、賃上げを実施する企業が増えている一方で、それが働く側の将来への安心に結びついていないことだ。2025年7月調査から、「賃上げがあった、もしくはある予定」は25.6%から30.4%へ増えた。賞与や手当などが「増えた、もしくは増える予定」も13.2%から16.7%へ上昇している。数字だけを見れば、賃金環境は改善している。
ところが、5年後の収入について「増えると思う」は16.9%にすぎず、「減る、もしくはなくなると思う」は25.9%に達する。現在の収入への不満も、「インフレや物価上昇に対応できない」が45.4%と突出している。ここから見えてくるのは、賃金が上がったかどうかと、暮らしが豊かになったと感じられるかは別の問題だということだ。
賃上げは企業にとって明確な数字になる。しかし働く側が見ているのは、その数字ではなく、家計のなかで何が買えるようになったか、将来も今の生活を維持できるかという実感である。物価が上がる局面では、名目賃金の上昇だけでは将来への不安を消せない。
その意味で「5年後の収入が増える」と答えた人が16.9%にとどまったことは重い。これは勤務先への信頼だけの問題ではない。物価、景気、社会保障負担など経済環境への不安も重なっているのだろう。企業が賃金を引き上げても、働く側が「日本経済はこれから良くなる」と感じられなければ、賃上げは将来への安心には変わりにくい。
賃金への不満の背後には、企業だけでなく、経済の先行きを測りかねている人々の姿がある。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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