2026/10/02

企業年金・退職金制度の導入・設計をサポートするベター・プレイス(東京都新宿区、)は、2026年10月に予定されている社会保険の加入要件一部撤廃(いわゆる「106万円の壁」撤廃)に向け、全国の経営者・役員483名を対象とした意識・実態調査を実施した。
2026年10月に、社会保険の加入要件である賃金要件、いわゆる「106万円の壁」が撤廃されるが、調査対象のうち,46.4%が「106万円の壁」撤廃を「知らなかった」(詳細まで把握は17.4%のみ)、71.4%が「週20時間」要件の存続を「知らなかった」、25.5%が「就業調整による業務影響をすでに実感」、50.3%が「制度変更への対応がまだできていない」、
44.5%が「経営上の懸念について特に懸念していない」。
「106万円の壁」撤廃の認知は約半数にとどまり、撤廃後も残る「週20時間」要件の存続まで把握している経営者・役員は3割未満だった。社会保険の適用拡大に関する経営上の懸念について「特に懸念していない」が最多回答(44.5%)であることは、制度の実態把握が進んでいないことと関係している可能性が高く、認知不足が対応の遅れを招いている構図が読み取れる。
一方で、就業調整による業務影響を実感している企業は全体の25.5%に上り、中堅企業(100〜299人規模)では37.0%と、全体と比較して高い数値となった。
(ベター・プレイス作成ニュースリリースを要約 9月15日)
今回の調査で見過ごせないのは、「106万円の壁」の撤廃そのものより、制度変更が迫るなかで、経営者の理解と現場との間に、大きなずれが生じていることだ。106万円の壁の撤廃を「知らなかった」が46.4%、撤廃後も残る「週20時間」要件を知らない人は71.4%に達する。その一方で、25.5%の企業はすでに就業調整による業務影響を実感している。
興味深いのは、44.5%が経営上「特に懸念していない」と答えていることだ。たんに懸念がないのか、懸念するための材料を持っていないのか。この2つは似ているようで、経営上の意味はまったく違う。制度を理解していなければ、問題が起きるまで問題として認識できないからである。
しかも中堅企業では、就業調整による業務影響を実感する割合が37.0%に上る。人手不足のなかで、働き手が制度に合わせて労働時間を抑えれば、その不足分を別の誰かが引き受けることになる。社会保険の適用拡大は、たんなる給与計算や社会保険手続きの問題ではない。企業の現場では、「誰が、どれだけ働けるのか」という人員配置そのものを変える可能性がある。
制度改正への対応で最も危険なのは、知らないことより、知らないまま「自社には関係ない」と判断してしまうことだろう。制度は一斉に変わっても、その影響は企業規模や職場によって異なる。経営者に求められるのは、制度変更を知識として覚えることではなく、自社の働き方に置き換えて、初めて見えてくる影響を読む力である。
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