2026/09/10

エンが運営するミドル世代のための転職サイト『ミドルの転職』上で、35歳以上のユーザーを対象に「転勤・単身赴任」について実施した調査で765名から回答を得た。
半数以上が、転勤経験が「ある」と回答。年収別で見ると599万円以下で44%、600万円〜999万円で56%、1000万円以上では77%となり、年収が高い層ほど転勤を経験している割合が高いことが分かった。
転勤経験者のうち単身赴任の割合は76%。また、35%が転勤をきっかけに退職を考えたことがあるという結果も出た。40代女性は「2拠点生活は思っている以上にお金がかかり、寂しさもあった。いつ戻れるかも分からず、辛かったため退職を考えた」と述べた。
転勤先のエリアは、海外はアメリカ、国内は東京都が最多。転勤を経験して良かったことは「知らない土地・環境を知る機会になった」。良くなかったことは「単身赴任で家族と離れ離れになった」が最多だった。
今後、転勤の辞令が出た場合、半数が承諾すると回答。承諾する理由の一例は「海外での単身赴任を経験したことで、転勤をそれほどネガティブに捉えなくなった。自身の成長機会となるような事案であれば、条件付きで前向きに考えたい」(50代男性)。退職を検討すると回答した60代男性は「家族はそれぞれのライフスタイルを確立しているため、家族帯同での赴任を強要されるのであれば、躊躇なく退職する」と述べた。
(エン作成ニュースリリースを要約 8月31日)
転勤経験者の76%が単身赴任を経験し、35%が転勤をきっかけに退職を考えた。さらに年収1000万円以上では77%が転勤を経験している。この数字から見えてくるのは、転勤がたんなる人事異動ではなく、これまで高い処遇と引き換えに受け入れられてきた、企業と個人の暗黙の契約が変わりつつあるということだ。
転勤には確かに効用がある。知らない土地や仕事に触れることで視野が広がり、本人の成長につながることもある。だが、その経験価値を企業だけが決めることはできない。50代男性が「自身の成長機会となるような事案であれば、条件付きで前向きに考えたい」と答える一方、60代男性は家族の生活を理由に退職をためらわない。
ここには、転勤の価値が年齢や家族構成によって大きく変わる現実がある。
かつては「会社の辞令」が個人の生活より上位に置かれた。しかし、共働き、子どもの教育、親の介護、配偶者の仕事など、人生の選択肢が増えた現在、勤務地を会社が一方的に決めることは、本人だけでなく家族の生活設計まで動かすことになる。
企業が考えるべきなのは、転勤をなくすか続けるかという二択ではない。転勤によって会社が得る価値と、社員と家族が負う負担を、同じテーブルに載せて考えられるかである。赴任期間、帰任の見通し、住宅費、家族との距離、本人のキャリア形成まで含めて条件を設計できれば、転勤は命令から選択肢へと変わる。
要は、転勤という制度に、社員の意向をどこまで組み込めるかである。
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