Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

初任給、月100万円で人材獲得 能力重視、霞ケ関キャピタル

不動産開発の霞ケ関キャピタルは2027年4月に入社する新入社員の初任給を月100万円にする。起業や人工知能(AI)開発などで突出した能力を持つ人材を「世代トップ」と位置付け、高額報酬で獲得する。年齢や勤続年数にかかわらず、能力や市場価値に応じて処遇する考え方を新卒採用にも取り入れる試みという。  
27年春の採用には約1300人から応募があり、約10人に内定を出した。応募者には「自分が日本一だと思う所」などのプレゼンテーションを課し、内定者には起業家やAI開発者らがいる。  
厚生労働省によると、大学卒の新卒者に25年6月に支払われた給料の全国平均は26万2300円。20年から16.0%上昇しているものの、100万円は4倍近く高い報酬だ。年収は1400万円前後となり、国内企業の新卒では最高水準。同社社員の平均年収は約1700万円だが、来春の新卒社員が既存の若手社員の年収を上回るケースも出てくるという。
(共同通信 8月29日)

霞ケ関キャピタルが新卒の初任給を月100万円にする意味は、単純な人材獲得競争ではない。約1300人の応募者から約10人を選ぶという採用方法を見ると、同社が求めているのは「優秀な新入社員」ではなく、起業やAI開発などで突出した能力を持つ人材を集めた集団なのだろう。いわば、年齢も経歴も問わず、世代ごとの突出した才能を組み合わせる「ドリームチーム」の発想である。
厚労省による大学卒新卒者の平均給与は26万2300円だから、100万円はほぼ4倍になる。この差は、若者への厚遇というより、企業が才能に付けた値札である。しかも同社の平均年収は約1700万円であり、新卒が既存の若手社員を上回る可能性もある。そこまでして集めたい人材なら、会社側には当然、その才能を引き出す就労環境を整えているのだろう。
ここでは「組織に人を合わせる」という日本企業の採用の発想が逆転している。会社が先に優れた個人を集め、その組み合わせによって、これまでになかった事業を生み出そうとしている。ならば100万円は給与ではなく、異能同士を掛け合わせるための投資と見るべきだろう。
霞ケ関キャピタルの新卒採用は、初任給100万円という話題性の先に、突出した才能を組み合わせ、新しい事業価値へと結実させる企業文化を築く経営に向かっている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。