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成果主義の陰で埋もれた「協調性や気配り」を評価し直すためには?

仕事はできるが、協調性がなく周囲を疲弊させる人――「ブリリアント・ジャーク」。500を超える組織を見てきた沢渡あまね氏と、組織と人の研究者・伊達洋駆氏が、その実態や生まれる背景、組織が取るべき対応を解き明かす『ブリリアント・ジャーク 静かにチームを壊す人たち』(三笠書房)から一部を抜粋。成果主義と過度な効率化は、協調性や目に見えない努力を評価しにくくした。数値化できない価値をどう取り戻すか。組織が目指す姿を日々の行動に落とし込む方法について、著者らが設計図を示す。
(中略)
 元来、日本企業は協調性やプロセスを重んじる風土を持っていた。
 しかし、成果主義の導入に加え、過度な効率化の追求によって現場の余裕が失われたことで、そうした目に見えない努力や他者へのサポートに目を配り、評価することが難しくなってしまった面が否めない。
 現在、その反省から、成果主義の組織風土が色濃い職場においても、協調性や目に見えない努力など、成果や結果だけではなくプロセスも、改めて評価する取り組みが見直されてきている。それには、
「当社は目先の成果だけではなく、プロセスも大切にする」
「この部署やチームは、見えにくい気遣いや気配りができる人も大切にする」
 なる、組織のメッセージングの意味がある。
(Japan Innovation Review 8月20日)

「ブリリアント・ジャーク」という言葉が突きつけるのは、協調性のない個人の問題というより、そうした人物を「優秀」と認定してしまう組織の問題である。成果主義そのものが悪いのではない。
問題は、測定しやすい成果だけを評価すると、他者を支える、摩擦を減らす、知識を共有するといった行為が「成果を生まない仕事」として見えなくなることだ。
これはたんなる評価項目の追加では済まない。例えば、ある社員が高い成果を上げる一方で、周囲がその人との仕事を避けるようになれば、組織は表面上の成果と引き換えに、協働する能力を失ってゆく。しかし、その損失は個人の業績には現われない。退職者が増え、情報共有が滞り、会議で本音が出なくなった段階で、初めて企業は代償の大きさに気づく。
だから「プロセスも評価する」というメッセージだけでは足りない。重要なのは、協調性を愛想のよさや従順さと混同せず、他者の能力を引き出し、チーム全体の成果を増やす行為として捉え直すことである。そうすれば、目に見えない努力は精神論ではなく、組織の生産性を支える資産になる。
企業が見直すべきなのは、評価表の項目ではない。「誰の成果によって、組織が成果を上げたのか」という問いである。個人の数字だけを見て人を評価すれば、個人は勝てても組織は負ける。成果主義の次に必要なのは、成果を生み出した関係を評価する視点である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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