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AIがホワイトカラーに照準、ゴールドマン・サックスが大幅人員削減

AI、ジョブ型人事、外注化などで労働環境が激変する現代、私立文系大学を卒業して事務職に就いた“私文ホワイトカラー”は、真っ先に淘汰(とうた)されてしまうのか。現役でそうした立場に身を置く著者が書いた『私文ホワイトカラーがAI・コンサルに仕事を奪われない働き方戦略』(かんき出版)から一部を抜粋。特別なスキルを持たないビジネスパーソンの生き残り術を考える。
(中略)
 2020年頃から爆発的に普及したリモートワークは、TV会議などの技術的な土壌が整っていたところにコロナウイルス感染拡大が起爆剤となって一気に実現したものです。AIが照準を合わせるホワイトカラーの労働についても恐らくはすでに技術的な土壌は整っており、もはやテレワークにおけるコロナウイルス感染拡大のような起爆剤となるイベントを待つだけの状況であると考えます。
 そしてそれが実現した暁にはかつて600人を抱えた本社トレーダーを2017年に2人まで減らしたというゴールドマン・サックスのような事例がそこら中で顕現することも可能性としては考えるべきでしょう。
 何を見てそう思ったのか。業務関係の資料では、所謂プレリサーチや一般的な公開情報をベースにした取りまとめ資料についてはすでにAIで作成可能です。
 そこで使用するのは生成AIを活用するシステムですが、そのアウトプット品質はすでに本社のローパフォーマー人材をはるかに上回っています。
(Japan Innovation Review 8月12日)

「私立文系ホワイトカラー」がAIに仕事を奪われるという議論には、見落としてはならない現実がある。それは、AIがまず奪うのは職業ではなく、職業の内部にある「誰でもできる仕事」だ。公開情報の収集、資料の要約、定型的な分析、プレゼン資料の作成。これまで若手社員が時間をかけて習得してきた仕事が、生成AIによって短時間で処理されるなら、企業が必要とする人間の数が減るのは自然な帰結である。
実際、ゴールドマン・サックスでは本社の株式トレーダーが2000年の約600人から17年には2人まで減ったと報じられた。ただし、これはAIだけによる削減ではなく、電子取引の進展を含む自動化の結果である。
この事例が示すのは、技術が一挙に人間を失業させるということではない。技術によって仕事の構成が変われば、企業は「以前と同じ人数」を必要としなくなるという現実である。
ILO(世界労働機関)も生成AIについて、職業そのものの消滅より、職務の一部が自動化される「仕事の変容」の可能性を重視している。問題は、私文系か理系かではない。AIに代替されにくい仕事を持つことよりも、AIによって仕事の中身が変わったとき、自分の役割を組み替えられるかどうかである。
かつて企業は、若者に「まず仕事を覚えろ」と指示した。これからは、覚えた仕事がAIに移る。必要なのは、与えられた作業を速くこなす能力ではなく、何を作業として切り出し、何を人間が引き受けるべきかを判断する能力だろう。
ホワイトカラーの危機とは、文系人材の危機ではない。「仕事をする」とは何かが変わり始めていることである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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