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上場企業の平均年収692万円 帝国データバンク調べ

帝国データバンクが2025年度決算期を迎えた上場企業約3700社を対象に調査を行ったところ、平均年間給与は692.6万円だった。
高収入の目安となる1000万円以上は235社・6.4%となり、社数ベースでは初めて200社を超え、過去最多となった。また、上場以降で初めて平均給与が1000万円を超えた企業は51社。
一方で、平均給与額500万円未満は430社・11.7%を含め、全上場企業のうち500万円台以下の合計は34.8%を占めた。
最も平均年間給与が高い業界は、外内航海運を中心とした海運業1120.1万円で、全業界で唯一、1000万円を超えた。海運業では、25年度に大手の日本郵船や商船三井が高水準のベースアップを実施したことで話題となった。海運各社では、好業績を背景に人材確保や物価高に対応した賃金の改善を続け、全産業でも特に平均給与額の上昇ペースが高い。
以下、証券・商品先物取引業962.1万円、保険業936万円、鉱業911.7万円と続き、上位の業種ではいずれも好業績を背景とした賃上げを実施した企業が目立った。
前年度から最も伸び率が高かった産業はゴム製品(製造)で、13.2%増の695.6万円。製造業全体の平均とほぼ同水準にあるものの、化学産業など給与額がより高い他産業への人材流出などを防ぐ目的で、大手を中心に給与額の引き上げなど人材への投資を積極的に進める動きが反映された。
(帝国データバンク作成レポートを要約 7月9日)

帝国データバンクの数字は、企業の呼吸そのものを映す鏡である。上場企業約3700社を対象にした調査で、平均年間給与は692.6万円だった。だが、このひとつの平均値の裏側に、分断の音が聞こえてくる。
1000万円以上の高給企業は235社・6.4%、社数で初めて200社を超え過去最多となった。上場後初めて1000万円を超えた企業も51社に上る。その一方で、500万円未満が430社・11.7%を含め、500万円台以下の合計は全体の34.8%を占める。この落差こそ、好況が全体に及ばない日本経済の実相を静かに語っている。
海運業が1120.1万円で、全業界のうち唯一1000万円を超えたのは象徴的だ。日本郵船、商船三井の高水準ベースアップが話題となったが、それは好業績を背景に、人材確保と物価高への対応という切実な必要が、賃金という言葉に翻訳された結果である。
以下、証券・商品先物取引業962.1万円、保険業936万円、鉱業911.7万円と続くが、いずれも好業績を背景とした賃上げを実施した企業が目立つ。
前年度からの伸び率で最も高かったのはゴム製品の13.2%増、695.6万円である。製造業全体の平均とほぼ同水準にありながら、化学産業などより給与額の高い他産業への人材流出を防ぐため、大手を中心に投資を進めた結果だという。これは希望による賃上げではなく、恐れによる防衛的な賃上げだ。この一事だけでも、日本企業の賃金決定が、必ずしも生産性や成長戦略からではなく、他業種との比較という受動的な力学によって動いていることが読み取れる。
数字は嘘をつかないが、動機までは語らない。豊かさの再分配が善意からではなく、危機感から始まるのだとすれば、それもまたひとつの時代の顔であろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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