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米MBA修了の年収4%減の1900万円 26年、AI活用能力にニーズ

米国で2026年修了の経営学修士(MBA)人材の年収が前年水準を下回る見通しだ。経営大学院入学審査評議会(GMAC)が25日発表した調査で年収の中央値(推定)が前年比4%減った。
人工知能(AI)の導入による雇用への影響が高度人材にも広がり始めた様子がうかがえる。GMACはビジネススクールなど大学院が加盟する米国の非営利団体。調査は26年1〜5月に企業の採用担当者らを対象に実施した。
 26年に米国のビジネススクールを卒業し、MBAを取得した人に支払われる見込みの年収は中央値が年収12慢ドル(約1900万円)と前年の12万5000ドルを下回った。MBAを除くビジネス系修士号取得者は8万2500ドルだった。前年の9万2500ドルと比べて約1割低く、下落幅がさらに広がった。
(日本経済新聞 6月27日)

知識と学歴が資本であった時代の終焉を、数字が静かに告げている。経営大学院入学審査評議会(GMAC)が2026年に発表した調査によれば、同年修了のMBA取得者の年収中央値は12万ドルと、前年の12万5000ドルから4%下落した。より深刻なのは非MBA経営系修士の落ち込みで、前年の9万2500ドルから8万2500ドルへ、じつに約11%の急落である。これは景気の波によるものではない。構造的な転換の予兆と読むべきだろう。
 AIが、かつては人間の高度な判断能力を必要とした業務を次々と代替しはじめている。財務分析、市場予測、戦略立案の補助——MBA取得者の強みである能力の核心部分が、今やアルゴリズムによって模倣され、あるいは超えられようとしている。企業の採用担当者はその現実を正確に価格に反映させた。採用担当者はリアリストである。
 注目すべきは下落幅の非対称性だ。MBAの4%に対して非MBA経営系修士の約11%という乖離は、AIが職種の「代替可能性の序列」に従って浸食していることを示唆する。より専門特化度の低い層から先に、確実に侵食されてゆく。それはかつて製造業の自動化が熟練工より先に単純工を追い詰めた構図と、本質的に重なる。
 問われているのは、人間にしかできないことは何か、という根源的な課題である。高額の学費と2年という時間を投じて獲得した「ビジネスの言語」が、AIという新たな話者の登場によって相対化されつつある今、教育と労働市場の関係が歴史的な問い直しの時を迎えている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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