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営業担当の社員を数百人増員 三菱UFJ証券の関浩之社長

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の社長に4月に就任した関浩之氏(58)が19日までに共同通信のインタビューに応じ、営業担当の社員を数年間で数百人増やす方針を明らかにした。人工知能(AI)を活用した営業の高度化も進め、顧客からの預かり資産を中長期で10兆円増やす目標を掲げた。  
3月末時点の預かり資産は約56兆円だった。関氏は「質を伴う確実なスケールアップにより業界のポジション向上を目指す」と意気込んだ。  
営業の増員分は、新規採用や三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)からの出向などで確保する。AIの活用で効率化できる分野からの配置転換も進める。
(共同通信 6月19日)

3月末時点で56兆円。この数字はたんなる預かり資産の総量ではなく、日本の個人金融資本が証券会社という媒介をどれほど必要としているかを示す指標として読まれるべきであろう。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の新社長・関浩之氏が掲げた「中長期で10兆円増」という目標は、野心というより、時代の構造変化に対する冷静な読みから来ている。
日銀の資金循環統計によれば、2025年9月末の家計金融資産は2,286兆円、うち現預金は1122兆円に及ぶ。総資産の約半分が利殖を求めぬまま滞留しているこの現実が、証券業界の潜在的な地平を示している。数百人規模の営業職増員は、デジタルだけでは届かない富裕層や事業承継層との対話を担う人材への投資にほかならない。
AI活用による効率化と配置転換は、単純な人員削減とは質を異にする。「AIが解放する時間を人間の関係構築に振り向ける」という発想の転換こそ、関氏が「質を伴う確実なスケールアップ」と語った言葉の核心に宿る。
56兆円という現在地と66兆円という目的地の間には、たんなる量的拡大ではなく、証券ビジネスの本質的な問いが横たわっている——資産運用は誰のために、何のために行われるのか。人とAIの協働という形でその問いに向き合う試みは、業界全体への問題提起でもある。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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