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候補者の転職意欲を数値化する「キャリアドリフトスコア」

overflow(東京都港区)は、2026年6月18日、運営するAI時代のエンジニア採用プラットフォーム「Offers」に、AIが候補者の転職意欲を数値化した「キャリアドリフトスコア」を追加した。採用担当者は、Offersの管理画面で候補者プロフィールを確認する際に、スコアと転職検討フェーズ、そのフェーズに応じた推奨アクションを直接見ながら、アプローチのタイミングを見極められる。
6月に提供を本格的に開始する採用支援サービス「Offers AI RPO」では、候補者の転職意欲の変化をAIが分析し、スカウトの最適化に活かしてきた。ただし、その分析結果を採用担当者が数値として直接確認できなかった。キャリアドリフトスコアの追加は、これまで見えなかった「意欲の動き」を採用担当者の手元に届け、判断に活かせるようにする。
キャリアドリフトスコアでは、以下の情報を確認できる。①転職検討フェーズ(候補者が今どの段階にいるかを5段階で表示)②キャリアドリフトスコア(キャリアドリフトモデルに基づく、候補者の「現在の状態」を示すスコア)③上位パーセンテージ(同スコア層内での候補者の位置づけ)④推奨アクション(現在のフェーズに応じた、アプローチの参考になる打ち手の提案)⑤スコアの根拠(「+スコアの根拠を表示」から、スコア算出の基になった候補者の行動履歴を確認可能)。
(overflow作成ニュースリリースを要約 6月18日)

人材市場の変化は、しばしば景気や賃金の曲線として語られる。しかし実際には、人が職を移ろうとする契機は、統計の背後で静かに揺れる心理の微細な振幅に宿っている。overflowが導入した「キャリアドリフトスコア」の意義は、この見えにくい揺らぎを可視化しようとした点にある。
従来の採用活動は、応募や面談といった顕在化した行動を起点に組み立てられてきた。だが労働市場の研究では、転職意思は実際の転職行動より先行して形成されることが知られている。米国労働統計局やLinkedInの各種調査でも、転職者の多くが行動に移る以前から情報収集や市場探索を始めていることが示されている。つまり企業にとって重要なのは、行動の事後把握ではなく、意欲変化の予兆を捉えることである。
その意味で、候補者の状態を五段階のフェーズとスコアで示し、さらに根拠となる行動履歴を提示する設計は興味深い。AIの判断をブラックボックスのまま提示するのではなく、説明可能性を一定程度担保しようとする姿勢が見えるからだ。採用とは本来、人間の未来に関わる営みである。だからこそ数値は人間理解の代替物ではなく、その入口でなければならない。
この機能は、採用の世界に「誰に会うか」だけでなく「いつ会うか」という時間の概念を持ち込んだ。人の意思が流動化する時代において、その時間軸を読む試みは、採用技術の新たな段階を示しているように思われる。数字の背後にある沈黙の気配を、企業がどこまでていねいに読み取れるかが問われている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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